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多くの新規事業の開発が失敗する理由と回避策 「見ざる・聞かざる・言わざる」の問題点とは?

東洋経済オンライン / 2024年4月22日 17時0分

それを怠り、勝ち筋の検討が甘いままサービス構築まで進んでしまうと、事業拡大できずに投資も凍結され、撤退やゾンビ化(リリース後に放置されコストを生み続ける)するリスクが生じます。

事業構想フェーズでは一度立ち止まり熟考する、その後の検証~構築はスピーディに実行する、というギアチェンジの意識が重要となります。

製品/プロダクトは「永遠のβ版」という認識を

②「聞かざる」:顧客の声を聞かずに当初プランに固執する

検証フェーズはMVP(Minimum Viable Product)という、顧客に価値を提供できる最小限の製品/サービスを作るフェーズです。このフェーズでは我が子可愛さに当初プランに固執して失敗するケースがとても多く見受けられます。

事業計画同様に、製品/プロダクトは「永遠のβ版」という認識を持つべきです。つまり、想定顧客からの率直な声を拠り所にした見直しが大前提になります。

BtoCの場合、クイックに試作品を作り、料金を設定して実際に利用してもらうのが一番です。プランの転換を検討する際に「コストをかけて試作したのに顧客に使われなかった」という事実は強い説得力を持ちます。

BtoBの場合、7~8社からの利用意向が成功の重要な指標となります。既存の顧客との関係を活かすのが理想的ですが、既存事業部からライバル視され営業現場での協力が得られないこともあります。

効果的なアプローチの一例として、営業部の役員を構想フェーズから検討に巻き込み、支持を得る工夫があげられます。この方法は、市場投入プロセスをスムーズに進める助けにもなります。

③「言わざる」:リスクを経営層に言わずにリリース直前に揉める

構築フェーズでは、無理なスケジュールの変更を進言しなかったせいでシステム開発が炎上する、パートナーとの契約条件を詰め切っておらず契約が破断になる、合意したはずの要件変更が忘れられリリースの承認が得られない、そういった事象が頻発します。リリース予定が近づき尻に火がついた状態で、担当者にとって最も苦しい状況に陥る可能性のある怖いフェーズです。

残念ながら効率的な解はありません。意思決定の場を設定し、明確に合意する、合意した内容を必ず文章に残しておく、という凡事徹底こそが解決策です。

NRIでは、独自開発した「事業開発ダッシュボード」で過去の検討経緯・決定事項と最新の検討内容を可視化することで、関係者間の認識齟齬を回避しています。事前に検討項目と各検討の留意点を定めて関係者で合意し、可視化用のフォーマットを作成しておくことをおすすめします。

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