トップ10には1社だけ「日の丸半導体」残念な現在地 日本経済の「失われた30年」と重なる凋落の軌跡
東洋経済オンライン / 2024年4月23日 15時0分
PCやスマホなどの電化製品から自動車、社会インフラまでさまざまなシーンで活用され、もはや現代社会には欠かせない"産業のコメ"とも呼ばれる「半導体」。かつて、その半導体の分野で「日の丸半導体」として世界市場を席巻していた日本のメーカーは、なぜ凋落の一途を辿ってしまったのか。その知られざる「背景」とこれからの「展望」を半導体エネルギー研究所顧問の菊地正典氏が解説します。
※本稿は、菊地氏の著書『教養としての「半導体」』から一部抜粋・再構成しています。
1985年から約25倍に拡大した「半導体市場」
半導体産業が辿ってきた道のりを、世界半導体市場と地域別シェアの推移という二つの面から概観してみましょう。
世界半導体市場に関しては、1985年には約227億ドルだったものが、わずか5年後の1990年には2倍強の500億ドル、2000年には10倍近い2157億ドル、2010年には15倍の3049億ドル、そして直近の2022年にはなんと25倍の5500億ドルへと、多少の凹凸があるものの全体的にはみごとな右肩上がりで拡大してきました。
結果的に1985年から2022年までの37年間で、市場は約25倍の規模に拡大しています。また2022年の市場規模は日本円で70兆円を超えていて、日本の自動車産業や金融業の規模を凌駕しています。
この規模は、半導体がクルマのような最終製品ではない(部品的な性質をもった)製品であることを考えると、驚愕すべきことといえるでしょう。
今後も特別なことが起きない限り、2027年頃には7000億ドル、日本円で100兆円の市場規模に成長するのではないか、と予想されています。
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「躍進」と「凋落」の二分化が進む世界
このような世界半導体市場の拡大の中で、地域別、ここではアメリカ、アジアパシフィック、日本、ヨーロッパの4つのブロックに分け、1990年から2020年までの30年間について10年ごとのシェアの変化を比べてみることにしましょう。
アメリカは1990年には38%でしたが、2000年に49%、2010年に50%、2020年には55%と、30年間で堅実に17ポイントも伸ばし、1992年以降は世界でトップの位置を占めています。
アジアパシフィック地域は1990年にはわずか4%と最下位でしたが、その後、2000年、2010年、2020年にはそれぞれ17%、25%、33%と急激な右肩上がりの成長を続け、30年間でシェアを29ポイントも伸ばして世界2位の地位に上がっています。
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