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「金利のある世界」が到来したら起こる生活の変化 日銀正常化によって、日本はどう変わっていくのか

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 8時0分

問題は、金利を急激かつ大幅に引き上げる必要に迫られたときには、当座預金で支払う利息が一気に増えてしまうことだ。国債などの利息収入を上回れば「逆ザヤ」になってしまう。逆ザヤが続けば、中央銀行が抱える資本金や債券などの資産を上回る負債を抱えて「債務超過」に陥る。

詳細は省くが、実際にFRBは急激な金利引き上げで、2023年10月の段階で500億ドルを超える債務超過に陥っていると、定期的に公表する財務データ「準備預金増減要因」で明かしている。2023年の決算では、1143億ドル(約16兆円)と過去最大の赤字になったとも発表した。

中央銀行にとって、逆ザヤと債務超過は大きな問題であり、紙幣を発行している銀行として、お金の価値を減らす=通貨安を招くため、できるだけ避けたい事態と言っていい。FRBが、2024年内に3回の利下げの方針を打ち出した背景には、逆ザヤと債務超過の懸念があるからとも言われている。

「0.28%」の金利で日銀は「逆ザヤ」?

では、日銀が今後金利を引き上げていく場合、どの程度引き上げれば、逆ザヤになるのだろうか。野村総合研究所のシミュレーションによると、日銀が「逆ザヤ」「債務超過」に陥る金利水準は次のようになっている(NRI コラム木内登英のGlobal Economy&Policy Insight「FRBが利上げで過去最大の赤字:日銀は政策金利+0.6%で赤字、+2.8%で債務超過に」、2024年1月18日配信より)。

●日銀が逆ザヤとなる政策金利……0.28%
●日銀が経常赤字となる政策金利……0.58%
●日銀が債務超過となる政策金利……2.75%

ちなみに、東京財団政策研究所のシミュレーションでも、2023年3月末の水準で当座預金の利息(支出)が「0.25%」に上昇すると「1兆3400億円」、国債の利息(収入)が「1兆3300億円」となり、支出が収入を上回る逆ザヤになるとしている。

さらに「1.0%」の水準で3年間、利息を支払い続けると、日銀の累積損失額は自己資本(資本金1億円、法定準備金等3.5兆円、引当金勘定8.3兆円)を上回ることになり「債務超過」になると試算している(東京財団政策研究所「日本銀行はどのくらい利上げすると債務超過になるのか」、2023年10月25日より)。 

日銀の保有資産の評価方法や国債の発行状況などによっても異なるが、どちらにしても0.25%とか0.6%といった極めて低い金利水準で、日銀は逆ザヤとなり、3%未満の金利水準で債務超過になってしまうということだ。

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