人類の将来に影響、プラスチック汚染条約の焦点 生産制限、問題プラの禁止めぐり交渉が山場
東洋経済オンライン / 2024年4月23日 8時0分
全体の約50%が埋め立て処分に回され、約19%が焼却される一方、残る約22%は適切に管理されていないごみ捨て場に持ち込まれたり、環境中に直接漏れ出したりしているという。
このOECD報告書によれば、2019年には約780万トンが川や海などに流出したと推定。約3000万トンのプラスチックごみが海の中に存在し、約1億0900万トンが河川に蓄積されているという。
また、同報告書によれば、不適切なプラスチックごみ処理量については、OECD諸国では排出量全体の約6%であるのに対して、開発途上国など非OECD諸国においては39%に達している。開発途上国ではごみ収集の仕組みが整っておらず、適切な処理システムが構築できていないことに原因がある。
途上国に負荷が集中する理由
ただし、その責任のすべてを途上国に帰すことはできない。
国際環境NGO(非政府組織)のWWFが2023年11月に発表した報告書によれば、低所得者の多い開発途上国の国民は、先進国の国民と比べて、プラスチックがもたらす負の影響を金額換算で10倍以上も受けている(下図)。
「途上国で消費されるプラスチック製品の多くは先進国の企業が設計・生産したものだ。さらに途上国は多くのプラスチック廃棄物を先進国から輸入している。こちらは途上国で適正に処理できる能力を大幅に超えている。つまり、途上国の国民は、プラスチックの使用や廃棄に伴い莫大な社会的な費用を負う一方、先進国のメーカーなどはコスト負担をしないという構図になっている」(WWFジャパンの三沢行弘プラスチック政策マネージャー)
また、太平洋の小さな島国のように、莫大な量の海洋プラスチックごみが漂着し、被害を受けている国もある。
プラスチック汚染は今後、さらなる深刻化が予想されている。前出のエレン・マッカーサー財団の報告書によれば、2050年のプラスチック生産量は11億2400万トンと、2014年の2.6倍にも増大する。それに伴い、海中のプラスチックごみは魚の重量を上回ってしまうという。プラスチック生産で発生した二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の主要因にもなる。
WWFは、プラスチック生産の総量削減にとどまらず、問題のあるプラスチックの禁止または段階的な禁止も主張している。具体的には、製品の特徴に応じてプラスチックをいくつかのカテゴリーに分類し、ほかに代替の可能な使い捨てプラスチックなどについては即時に使用禁止するといった規制を世界レベルで設けるべきだとしている。
この記事に関連するニュース
-
製造業の再生プラスチック使用量に国が目標設定、使用実績の報告義務化も…罰則も検討
読売新聞 / 2024年6月26日 5時0分
-
海洋プラスチック問題解決に貢献!卓上ダンボールシュレッダー『DeKulum』で、あなたの会社も脱プラへ
PR TIMES / 2024年6月12日 10時45分
-
<化粧品業界で世界初の取り組み>ナチュラルコスメブランドLUSHのボトル容器 海洋プラスチックごみを未然に防ぐ活動で回収された再生素材に切替え
PR TIMES / 2024年6月5日 16時45分
-
使い捨てプラのない未来はどんな世界?新しいビジョンを創るアイデアを大募集ーーアイデアコンペNEXT ECO 100を立ち上げ
PR TIMES / 2024年6月5日 13時40分
-
粟島の海洋ごみをゼロに!「Awashima Heart Project 2024」活動レポートを発表
@Press / 2024年6月5日 12時0分
ランキング
-
1市営住宅で76歳女性死亡 殺人事件として捜査 同居の次男と連絡取れず 高知
ABCニュース / 2024年6月25日 22時30分
-
2副作用や死亡要因疑い後も中止せず ハンセン病患者に開発中の薬投与
毎日新聞 / 2024年6月25日 19時24分
-
3「富士山コンビニ」の幕、黒から茶色に張り替えへ 丈夫な別素材に
毎日新聞 / 2024年6月25日 18時40分
-
4岸田首相の「独断専行」に苦言=伊吹元衆院議長
時事通信 / 2024年6月25日 23時29分
-
5「三木楽器」の取締役を逮捕 ワシントン条約で規制されている木材をパラグアイから密輸しようとした疑い「20回から30回ほど輸入し、ギターとして販売していた」
MBSニュース / 2024年6月25日 17時25分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)