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65歳以降も学び続け元気な人と学ばない人の差 記憶力の衰えでなく好奇心の衰えこそが大問題

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 19時0分

私自身、知識がないために、貴重なチャンスを有効に活用せず無駄にした経験もあります。今でも後悔しているのは、タキシラ遺跡を訪れた時のことです。

パキスタンの首都イスラマバードで講演する機会があり、その際に訪れたのですが、タキシラ遺跡がガンダーラ遺跡の一部であることを知らず、ただぼんやりと見てしまいました。

日本に帰った後で、これがガンダーラ遺跡だったことを知り、地団太を踏みました。ガンダーラに行けることなど、もう二度とありえません。ゲリラが出没する地域に、銃を持った護衛つきで、イスラマバードから一日かけて行ったのですから。

「豚に真珠」そのもの。「野口悠紀雄にガンダーラ遺跡」と自嘲したくなります。絵画においても同様です。フィレンツェのウフィツ美術館やパリのルーブル美術館には何度も訪れたのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品については、「受胎告知」と「モナリザ」にしか注意が向いていませんでした。

その結果、「東方三博士の来訪」、「岩窟の聖母」、「キリストの洗礼」などを見逃してしまったのです。美術館を訪れた時には、これらがいかに偉大な作品であるかを知らなかったからです。「ルーブルと言えばモナリザだけ」とは、恥ずかしい限りです。

学ぶのに遅すぎるということはありませんが、「もっと知識を持っていれば」と後悔することはたくさんあります。それが取り返せないこともあります。無知であることのコストは、想像以上に大きいのです。

私は昔から経済について勉強してきました。しかし、勉強すればするほど、日本の賃金はなぜ上がらないのか、一方でアメリカや韓国はなぜ成長率が高いのか、と謎が深まっていきます。その謎が好奇心を刺激して、勉強への意欲は高まります。

人間は本来、年齢とともに知識が積み重なり、それに伴ってより高度な知識や関連分野の知識への欲求が強くなっていくはずです。

興味と知識は密接につながっています。興味を失うと勉強しなくなり、勉強せずに知識が古くなったり忘れたりすると、さらに興味が失われていく。この悪循環こそが勉強の最大の敵です。もしこのサイクルが止まっているのなら、いますぐ再循環させなくてはなりません。

「興味が湧かない」と感じるならば、それは「学び始める」チャンス。学ぶから、興味が湧く。学びはいつでも「起点」になるのです。

コンピュータとの長い付き合い

私はPCやスマートフォンをかなり使っていますが、それは、大型コンピュータの時に散々苦労させられたからだと思います。

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