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65歳以降も学び続け元気な人と学ばない人の差 記憶力の衰えでなく好奇心の衰えこそが大問題

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 19時0分

最初に大型コンピュータを使ったのは、大学3年生のとき(昭和36年:1961年)。夏休みの工場実習で三菱造船(現・三菱重工)長崎造船所に2週間くらい滞在。IBMのコンピュータを使いました。多分、日本で初めて使えた大型コンピュータの一つだと思います。「コンパイラ」という装置で穿孔テープを作り、それをコンピュータに読み込ませていました。ニュートン法で方程式の解を求めるプログラムを通すことに成功。

大学4年の時には、日本が最初に作った大型コンピュータTACの中に入りました。「中に入った」というのは、東大総合試験所の大きな部屋が、まるごと一つのコンピュータだったからです。棚に真空管がずらっと並んでいました。

1970年代の初め、アメリカ留学中、学生の身分でコンピュータを使うのは大変なことでした。申し込んで待たなければならないからです。その後大学で職を得てからはコンピュータを使える身分になったのですが、大量のプリントアウトに悩まされました。

1970年代の初めに登場した小さな卓上関数電卓HP35は、個人が使える世界で初めてのプログラム内蔵型コンピュータで、それまで大型コンピュータの使用で順番待ちをすることに悩まされ続けてきた身としては、自分だけが使えるコンピュータの登場に感激しました。その利用に夢中になり、これで解ける問題はないかと探し回ったくらいです。その後、コモドールのPCが登場。早速購入して、ゲームを作りました。

無知から新しいものは生まれない

知識を持つことは、実用的な目的にも役に立ちます。これは当たり前のことです。

知識が新しい発見を促します。科学上の発見は、それまでの知識の上に立ってなされることが多いのです。知識があるからこそ、新しい発見があります。

ビジネスモデルの場合も同じです。企業が直面している問題の解決のために、過去の経験のビジネスモデルが役に立ちます。そうした事例を知っているからこそ、発見ができます。無知の状態から新しいものが生まれることはありません。

知識を得るために必要とされるコストが低下したので、知識を得ようとすれば、簡単に手に入れられるようになりました。ただし、知識が重要な役割を果たしていることに変わりはありません。

知識を多く持つ人ほど、多くの知識を欲しています。その意味において、知識を多く持つことが重要であることに変わりはありません。「望めば簡単に手に入るようになった」のだから、知識を持っていることの重要性は増えたと言えるでしょう。知識そのものが直接的な意味で役立つわけではありませんが、知識が触発する発見が重要なのです。

野口 悠紀雄:一橋大学名誉教授

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