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人類の将来に影響、プラスチック汚染条約の焦点 生産制限、問題プラの禁止めぐり交渉が山場

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 6時0分

もちろん、日本政府や産業界も手をこまぬいているわけではない。

2019年に政府は「プラスチック資源循環戦略」を策定。「2030年までにワンウェイ(使い捨て)プラスチックを累積25%排出抑制する」といった目標を設定した。レジ袋の有料化に続き、「プラスチック資源循環促進法」を制定し、製品設計時点でプラスチックの使用量を減らしたり、店頭での無償配付をやめる努力を促したりするなどの取り組みも始まった。いわゆるサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方を取り入れたものだ。

レジ袋は有料化により国内流通量がその前と比べて約5割減少した。新法を機に、コンビニエンスストアなど流通業の一部企業は、使い捨てプラスチックの無償配付を取りやめるようにもなった。環境省の井上雄祐・容器包装・プラスチック資源循環室長は「企業の取り組みは着実に進んでいる。数年後には数字を伴って成果が現われる」と説明する。

ただし日本では、配付の禁止といった規制的な手法は、ごく一部の地方自治体を除き導入されていない。

ヨーロッパや韓国、アフリカなどは規制強化

これに対して、ヨーロッパ諸国や韓国、インド、アフリカ諸国などは、使い捨てプラスチック製品の禁止など、規制強化の動きを強めている。最大のプラスチック生産国である中国も、超薄型レジ袋など一部の製品に限ってではあるが、製造・販売禁止に踏み切った。

しかし、ヨーロッパなどではスプーンや皿、レジ袋など一部のプラスチックの使用禁止といったレベルの対策ではプラスチックごみの総量削減につながらないという問題も判明している。そこで、国ごとの個別の対策では不十分であるとし、分母となるプラスチック生産そのものに規制をかけるべきという声が強まってきている。

「プラスチック汚染を終わらせるための高野心連合」(High Ambition Coalition)は2022年3月の国連環境総会でのプラスチック条約制定を目指す決議を踏まえて結成された。同連合はオタワでの会議を前に、「一次プラスチックポリマーの生産と消費を持続可能なレベルまで抑制・削減するための拘束力のある規定を求める」という文言を含んだ65カ国の閣僚共同声明を発表した。65カ国のリストには日本も含まれている。

国際環境NGOグリーンピースがオタワでの会合を前に実施した、プラスチック条約に関する日本を含む19カ国の市民を対象とした意識調査でも、回答者全体の82%がプラスチック生産量削減の必要性に賛同すると答えている。日本の回答者の賛同率は19カ国のうちで最も低いものの、64%が「強く支持する」「ある程度支持する」と答えている。

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