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東大生解説、米「221年ぶりセミ大量発生」驚く真相 1兆匹との予測も!「素数」で読み解くメカニズム

東洋経済オンライン / 2024年4月25日 11時0分

今年はアメリカでセミの大量発生が予測されています(写真:rik/PIXTA)

数学を使って世の中の仕組みを知ることで、物事を見る視野が広がります。現役東大生の永田耕作さんが数学の魅力について解説する連載『東大式「新・教養としての数学」』。今回は「素数」について解説します。

セミの大量発生は重大な問題

今年、アメリカで大量のセミが発生すると予想されていることを皆さんは知っていますか? アメリカのニューヨーク・タイムズは、今年の4~6月に、全米の16州にわたって1兆匹ものセミが発生すると報じており、その規模は実に221年ぶりといわれています。

このセミの大量発生は皆さんが思う以上に重大な問題です。セミによって果実や葉が食い荒らされたり、停電が発生したりするなど、その地域の経済に大きな影響を与えてしまうのです。

「1兆匹のセミ」と急に言われても、どのくらいの量なのか、そしてその事態の収束がどれほど大変なのか、あまり見当がつかないでしょう。ここで、1兆匹のセミという数字がどれくらいかまず説明します。

1兆(1,000,000,000,000)は0が12個つく数字です。そして、1匹のセミの体長がおおよそ2.5~3cmくらいであるため、1兆匹のセミを縦に並べるとその長さは2500万~3000万キロになります。地球の周の長さがおよそ4万キロ、地球と月の間の距離がおよそ38万キロであることを考えると、ものすごい数字であることがわかるでしょう。

このように特定の年、時期に大量発生するセミのことを、「周期ゼミ」と言います。アメリカを中心に、さまざまな種類の周期ゼミが存在しており、その集合体ごとに発生年度、そして発生周期が異なります。その年度ごとに、「ブルード1」「ブルード2」というように通し番号をつけてセミの集団を区別しているのです。

この周期ゼミは、寿命のほとんどを地中で幼虫として過ごし、特定の周期で一斉に羽化して地上に現れます。地上に現れた後は数日で寿命を迎えてしまうため、代が移り変わっても常に一定の周期でまた発生するのです。

ちなみに日本では、セミの寿命は5~10年ほどと言われていますが、アメリカのセミは15年以上のものもあり、アメリカのセミのほうが寿命は長いのです。

「13年周期」と「17年周期」のセミが同時発生

今年大量発生することが予測されている周期ゼミは、発生周期が17年の「17年ゼミ(ブルード13)」と発生周期が13年の「13年ゼミ(ブルード19)」です。この2種類のセミが同時に発生するのは、「13×17=221」であるため実に221年ぶり、つまり1803年以来であることから、近代で一番のセミの大量発生であると騒がれているのです。

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