「若さ」に価値を置いてきた日本社会に言いたい事 坂東眞理子さん「年を重ねて知ることも多い」
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 12時40分
ほんの小さなことからでいい。「自分に何かできることはあるかな」と考え、少しだけ利他的に行動する。それが、自分にも多くのよろこびや、幸せをもたらしてくれる――。
新著『与える人「小さな利他」で幸福の種をまく』では、『女性の品格』の著者、坂東眞理子さんが、自分中心主義からちょっと離れ、周囲や他者の問題にもう少し目を向けることがいい人生をつくるコツだと説きます。
本稿では、同書から一部を抜粋、編集してお届けします。
中高齢期にこそ「真の花」を
せっかく長生きできるようになったのに、年を取るのは衰えること、いままでできたことができなくなること、これまで持っていたものを失うことだ、と考える人がたくさんいます。
たしかに、多くのオリンピックやプロのスポーツ選手は年齢を重ねると「体力の限界」で引退します。
種目によりますが、瞬発力が要求される短距離陸上選手、柔軟性を要求される体操やフィギュアスケートなどの選手は、10代から活躍して30歳前に引退していきます。
対してゴルフやアーチェリーなど、技と経験が要求される種目では40~50代でも活躍する選手がたくさんいます。
スタイルや美貌は、年とともに衰えていくとされています。
私の故郷に「風の盆」という優雅な民謡踊りがありますが、男踊りで一番かっこいいのは、贅肉がなくすっきりしたスタイルの高校生の男の子だそうです。女の子でも10代の少女たちの匂うような肌の美しさはその年代にしかありません。
20代からは男女ともふっくらとしてきますが、それを「若さを失った」とマイナスに評価するか、女らしい別の魅力がついてきたと評価するかによって違います。
中高齢期に「真の花」を咲かせる
一方で、70代でも美しい踊りを続けておられる森下洋子さんのようなバレエダンサーもいらっしゃいます。日本舞踊や能、歌舞伎などではみずみずしい若手とともに、経験と技を積み重ねた方たちが60代、70代でもたくさん活躍されています。
俳優の世界でも、若手が次々と登場するなかで、ベテランでも魅力を保ち続けている方はめずらしくありません。
若いほうが絶対に美しい、魅力的とはいえません。能の世阿弥がいっているように、若いときは「時分の花」がありますが、それがなくなった中高齢期に「真の花」を咲かせる方は多いのです。
つまり、日本は美しさについては「若さ」に価値を置いてきましたが、そろそろ見直すべき時期になっているのだと思います。人間の能力が試験の成績や偏差値だけでは測れないように、人間の総合的な価値も、体力や見た目だけでは測れないものなのです。
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