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「若さ」に価値を置いてきた日本社会に言いたい事 坂東眞理子さん「年を重ねて知ることも多い」

東洋経済オンライン / 2024年4月26日 12時40分

生物としての若さだけでなく、これまでの経験や磨いてきた技を評価される分野もあります。それには評価する「目利き」が必要とされるのです。

目利きになるには経験が大事です。

知的能力でも集中力や記憶力のように、若い時期のほうが優れている分野もありますが、判断力、包容力、洞察力、類推力、共感力のように、年を取ってから伸びる能力もあります。

創造性も若いころのほうが豊かだといわれますが、ゼロから生み出す創造だけでなく、スマートフォンのように、すでに存在していた電話と音楽、動画などを結びつけて新たなものを創造するケースもあります。

そちらの創造力のほうが、現実には社会に広く受け入れられています。

スポーツや芸術の面だけでなく、社会や職業生活でもいろいろな能力があって、それぞれピークを迎える時期は異なります。

新しいスキルや情報については若い人のほうがよく知っているかもしれませんが、人間関係の調整力、表現力、人間性への洞察など、年齢を重ねたことによって得られるものもたくさんあるのです。

年を取ったからこそできることも

このように、年齢を重ねると、若いときには知らなかったことを「そうだったのか」と知ることが、たくさんあります。できることも増えています。

私たちの世代では人生の半ばを過ぎてからパソコンが職場に入ってきましたが、いまでは私にも生活上欠かせない道具になっています。必要に迫られた結果、インターネット検索、パワーポイントづくりなど、自分には無理かなと思っていたこともこなせるようになっています。

この1、2年の間に、遅ればせながらQRコードで予約を取ることもできるようになりました。

30歳のときの私、40歳のときの私はできなかったけれどいまはできる、知っていることがたくさんあります。多くの60代や70代の人は、私と同じように感じているでしょう。

社会生活で必要になっているスキルは、若い人や専門家に教えてもらいながら身につけなければなりません。あきらめて試してもみない、教えてももらわない、練習もしないという態度では、時代に適応する最低限のスキルも身につきません。

「知らないと思われるのは恥ずかしい」「こんなことで若い人をわずらわせては申し訳ない」というのは“謙虚”なのではなく、バカにされたくないとこだわる自意識が高すぎるせいなのです。

何より大事なのは心の持ちようです。

年を取ると、たしかにもの覚えが悪くなるとか、重いものが持てない、速く走れない、両方の指でスマホに入力できないなど、できないことも増えてきます。  

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