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不振のグッチ「日本だけが好調」その"カラクリ" ヴィトンも何度も値上げしても日本は伸びる

東洋経済オンライン / 2024年4月26日 8時30分

同社は「2024年1~3月の中国人によるルイ・ヴィトンのファッションとレザーグッズの世界需要が前年同期比約10%増加し、特に日本市場の伸びに影響した」と分析した。事実、日本市場の売上高は同32%増えた。

中国本土の消費者が海外旅行を再開したことで、免税などを受けられる国外で買い物をする動きが加速し、円安が進み割安感が際立った日本での購入が増えたということだ。

ギオニCFOは「(グローバルでの価格のバランスを取るため)日本では昨年も何度も価格を引き上げた」とも語った。

LVMHは2023年の決算でも、中国人のインバウンド買いにしばしば言及していた。2023年4~6月の売上高は全体の4分の1を占める北米市場が1%減少したが、日本を含めたアジアが補った。この時の日本の売上高は前年同期比29%、アジア(日本を除く)は同34%上昇した。

中国現地メディアによると、アジア(日本を除く)以外の売上高に占める中国人の消費額は、2022年の15%から2023年は30%まで伸びた。

特に距離的に近い日本への影響は大きく、「中国人旅行者のヨーロッパでの消費はまだ回復していないが、日本では急回復しており、コロナ前の2019年の水準に近づいている」と語っていた。

バーキンで知られるエルメスも、売上高、純利益ともに2ケタの伸びを示した同社の2023年12月期の通期決算からは、LVMHと近しい動きが見える。

売上高を地域別にみると、欧州、アメリカ、アジア太平洋地域(日本を除く)の売上高の伸びはいずれも20%前後で、日本は25.7%増と突出している。

エルメスは中国でも好調を維持し、売上高の6割近くをアジア太平洋地域で稼いでいる。

日本、中国ともに直近2~3年で何度も値上げしているが、中国では「今が一番安い」「中古価値も上がる」という受け止め方をされ、逆風になっていないどころかロレックスのように投資価値が高まっている。

もう一度ケリングに戻ってみよう。

売上高の半分近くを占めるグッチは、2024年1~3月決算において、中国だけでなく西欧(15%減)と北米(18%減)も2ケタ減となっている。日本は唯一伸びており、前年同期比7%増だ。

サンローランの売上高は日本を除くアジア太平洋が前年同期比12%減、西欧が横ばい、北米が同6%減で、日本は同34%増。決算資料の報告にも「日本で力強い成長」と記載されている。

ボッテガ・ヴェネタは日本を除くアジア太平洋が4%減、日本は7%増だが、西欧(14%増)と北米(25%増)の方が伸びている。

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