不振のグッチ「日本だけが好調」その"カラクリ" ヴィトンも何度も値上げしても日本は伸びる
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 8時30分
ケリング傘下の主要3ブランドすべてでプラスになっているのは日本だけだ。その要因が円安によるインバウンド需要で、中国人によるものだと考えるとつじつまが合う。
グッチ苦戦の本当の理由
では、グッチの中国市場での不振の本当の原因は何だろうか。
ファッション関係者なら知っているのだろうが、同ブランドはこの数年経営が混乱し、立て直しのフェーズにある。
前述したように販売減は中国に限ったことではなく、円安の恩恵を受けている日本以外は等しく苦戦している。
2023年9月には低迷を受け、グッチのCEOが交代した。2010年代後半の成長を牽引してきたアレッサンドロ・ミケーレ氏が2022年にクリエイティブディレクターを退き、後任にサバト・デ・サルノ氏が就いた。
ラグジュアリーブランドのバッグを所有している中国人30代女性数人に聞いたところ、「グッチは若者向けというイメージがあり、自分の年齢に合わない」「2015年ごろに大きなブームがあったが、デザインが尖りすぎていて、今となっては使いにくい」との答えが返ってきた。
中国の景気は確かに低迷しており、先行きの不安感も高まっている。だからこそ「価値が簡単に下がらないもの」「長く使える上質なもの」を、「最もお得なチャネルで」買うようになっている、というのは、中国の小売り関係者の多くが指摘している。
中国市場は「二極化」している
ブルームバーグの報道によると、ケリングのアルメル・プルーCFOは「中国市場は超高級品か手頃な製品のいずれかを求める二極化が進んでいる。ほぼ中間に位置する当社はこの二極化の恩恵を受けていない」と述べたという。
「二極化」は最近の中国マーケットを語る上での重要なキーワードだ。LVMHとエルメスが幾度にも及ぶ値上げでも失速せず、2024年も中国での出店を拡大していることからも、ラグジュアリーブランドの中でも、「超高級ブランド」と「それ以外」に分かれているということだろう。
浦上 早苗:経済ジャーナリスト
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