激減した「サブウェイ」じわり復活している事情 意外と知られていない「パンへのこだわり」
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 13時20分
また食品ロスを防ぐため、パンに挟む具材量の正確さも重要だ。
そのため、店舗では、スタッフがシフトに入るときに毎回「ポーションチェック」と呼ばれるテストを行うという。つまり、決められた具材量でサンドイッチが作れるかのチェックだ。
復活戦略としてほかに行ったのが、SNSによる認知度拡大だ。Xでは「#がんばるんだサブウェイ」を合言葉に、全国から出店希望地を募集。フォロワーは116万人に達し、撤退してしまった地域からの復活希望を含め、年間2000件の出店リクエストが寄せられる。
また、話題作りのためのジョークネタも積極的に投稿。例えば2023年のエイプリルフールには「宇宙人専用サンド」、2024年は「あなたの『いま食べたい』を“脳波”で瞬間カスタム」のニュースを発表している。
なんとなく、自虐ネタで有名な銚子電鉄や、際どいジョークネタで若者間での認知度を上げたバーガーキングを思わせる手法だ。
エイプリルフールには各社頑張っているが、加減が難しい。2024年はKFCが「チキン詰め放題」のニュースで謝罪する結果になってしまった。ブランドのカラーも踏まえて、許される嘘、効果的な嘘を見極めるバランス感覚が要求される。
テイクアウト需要・健康志向も追い風に
その点サブウェイは大バズりとまではいかないが、滑りもせず、ブランドの特徴も取り入れ、ファンにとっては微笑ましいジョークに収まっている。
以上のような改善策が、結果的に近年の店舗数増加や売り上げ増につながっている。
ただ、コロナ禍・物価高騰の社会背景も後押しをしているようだ。もともとイートインスペースが少なく、テイクアウトが主体のビジネスモデル。また野菜をたくさん食べられるということで、コロナ禍に高まったテイクアウト需要・健康志向にマッチした。
客単価は950円だが、サンドイッチ+ドリンクorポテトのセットで最低600円台前半からという手頃感も、利用しやすい印象を高めた。
「値上げも比較的抑えている。例えば、新商品のトリプルミートBMTは1992年上陸時のメニューのリバイバル。当時480円で販売していたが、今回550円で発売した」(土井氏)
なお直近の値上げの情報を見てみると、2022年11月、2023年5月価格改定を行っており、一例としてえびアボカドサンドイッチが550円から590円まで値上がりしてきている。
こうした上昇気流に乗り、サブウェイが現在進めているのが、「セルフオーダーシステム」の導入だ。これはいわゆるタッチパネルで注文、支払いまでできるシステム。コロナ禍を経て普及が広がっているが、同チェーンでの導入は、コロナとは別の理由から始まっている。
セルフオーダーのメリット・デメリット
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