人気の1人前「冷凍食品」開発の裏側がすごかった 定番品に加えて高単価商品のジャンルも拡大
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 7時0分
スーパーで特売の目玉となり、割引セールが行われてきた冷凍食品。ギョーザや揚げ物、冷凍野菜といった定番商品にとどまらず、最近は高単価商品のジャンルが広がっている。消費者から”コスパ”を求められてきた冷凍食品のイメージが変わりつつある。
【写真】パッケージの中身は? あんと麺のトレイは二層構造で包装されている
2023年に大ヒットした「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」(実勢価格398円前後)。うっすら焼き目の付いた麺に、大きめにカットした6種類の野菜を絡めたあんをかけて食べる冷凍食品だ。発売元の冷食大手ニチレイフーズによると、昨年9月の発売から翌月10月で100万食を突破した。
昨年10月には女優の今田美桜さんを起用したテレビCMも投入。野菜が多く入ったあんかけ焼そばは、女性客にも購入されている。冷食としては高価格帯ながら、商品力と売り場づくり、マーケティングがかみ合って生まれたヒットだった。しかし開発の現場は、発売直前まで試行錯誤の連続だったという。
冷やし中華に続く戦略商品
「発売前の昨年7月から8月は胃がキリキリする思いだった」。そう振り返るのはニチレイフーズのライン&マーケティング戦略部・蟹沢壮平氏だ。
同社は2022年に春期の目玉として冷凍の「冷やし中華」を投入し、発売から約半年で200万食の大ヒットを記録した。レンジで温めても冷たく仕上がる独自技術を採用し、構想に約5年、商品化まで約3年を要したチャレンジ商品だ。冷やし中華に次ぐ戦略商品として、あんかけ焼そばの開発を進めてきた。
あんかけ焼そばを選んだのは、冷凍食品の中で麺類は発展途上で伸びしろが大きいから。ただし強力なライバルとしてマルハニチロの「五目あんかけ焼そば」が存在した。冷凍食品の人気投票「フローズンアワード2023」(食品総合卸の日本アクセス社が実施)で麺類部門1位を獲得した王者である。
開発のハードルは高かった。ライバル商品と差別化したうえで完成度が高く、市場を広げる商品が求められた。
販路となるスーパー側のメリットも必要だった。ほかの中華麺やラーメンよりも売れて、他社商品を棚から蹴落とす実力を備えなければならない。「100%の確信を持って出さなければだめだと考えていた」と蟹沢氏は語る。
ライバルと差別化、王道で勝負
開発スタッフはさまざまなレストランを食べ歩き、モニター調査も行いながら味の方向性を固めていった。結果、中華レストランが監修するライバルと差別化し、しょうゆとオイスターソースがベースの王道の味で勝負することに決めた。豚肉と野菜の具材のおいしさを引き出し、あんはやや甘めにするなど、男性だけでなく女性にも好まれる味を目指した。
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