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「兄達が突然死去」道長に立ちはだかる"最大の敵" 甥である伊周と繰り広げられた後継者バトル

東洋経済オンライン / 2024年4月27日 7時30分

すると、見事、弓は的の真ん中に命中しました。次は、伊周が射ることになったのですが、気後れしたのでしょうか。手が震えたのか、弓を放つも、的に当たりもせず、見当違いの方向に飛んでしまいます。

父・道隆の顔は、その光景を見て真っ青になりました。道長はそんなことも気にせずに、2矢を放ちます。今度は「私が摂政・関白になるものならば、この矢よ、当たれ」と言いながら、矢を放つと、またしても先程と同じところに命中したのでした。

こうなると、場は白けてきます。伊周が負けじと矢を射ようとしたのを、道隆が「なぜ、射るのか。射るな、射るな」と激しく制止したので、場は一層、白けてしまったようです。

道長は、矢を返し、その場を悠々と退出しました。道長は弓が得意であったと『大鏡』は記しています。

この勝負は、道長の威風や、道長が弓を射る際に発した言葉、それらに伊周が臆してしまったことが、道長勝利の要因だったといえるでしょう。

道長の人相がやたらと褒められる

さらには、このようなエピソードも『大鏡』にはあります。

円融天皇の女御となった詮子(藤原兼家の娘)の法事のときに、飯室の権僧正のお供として、人相見の「供僧」が来ていました。

その人相見を女房たちが取り囲み、各々の人相を見てもらっていたところ、ある女房が「内大臣(道隆)殿の人相はいかがでしょう」と言い出したのです。

するとその人相見は「道隆様は実に偉い人相です。天下をとる相でございます。しかし、道長様こそ、真に立派な人相というべきでしょう」と答えます。

続いて、粟田殿(藤原道兼)の人相を尋ねると「こちらも実に立派でございますな」と人相見は話します。ところが、またしても「しかし、道長様こそ、まことに優れた人相をお持ちです」と続けるのでした。

次に、伊周の人相について質問がありました。「こちらも大変、尊い人相をお持ちでございます。雷の相をお持ちですね」と、人相見は話します。

「雷?」と人々が不思議がると「雷はいっときは高く鳴りますが、後は続きません。ですので、伊周様の晩節がどのようなものになるか……。やはり、道長様こそ、素晴らしい人相のお人です」と人相見は答えるのです。

ここまで“道長推し”が強調されると、人相見は道長に買収でもされているのかと、半分冗談でツッコミたくもなりますが、とにかく、人相見はことあるごとに道長の人相を持ち上げるのでした。

周りにいた女房たちも、私と同じ想いを抱いたのかもしれません。「道長様はどのような人相なので、そのように、お言い添えになるのですか」と人相見に尋ねます。

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