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サントリーCM「ひろゆき」起用に見る"したたかさ" 成田悠輔はダメなのに、ひろゆきは大丈夫な理由

東洋経済オンライン / 2024年4月27日 13時40分

しかし、サントリーの広告は”真逆”である。特茶の効能をひろゆき氏が説明するのであれば、「この広告は信用ならない」となるだろうが、ひろゆき氏の過去の言動を否定する構成になっている。つまり、ひろゆき氏を今回起用し、また今後何か彼が問題発言をしたとしても、それによって広告に込めたメッセージの価値が毀損したりはしないのだ。

起用自体に問題はないのか?

批判的な反応の中には、「こういう人物を起用すること自体がおかしい」という意見もある。「広告表現がどうこう」といったことでなく、サントリーのような誰でも知っていて、多くの人が商品を買うような大手企業が、ひろゆき氏のような言動がたびたび波紋を呼ぶ人物にお金を払って、多くの人の目に触れる広告に起用してもよいのか? という意見だ。

この意見には一理ある。

筆者の専門、あるいは専門に近い領域に関してひろゆき氏が発言を行うこともあるが、事実誤認があったり、視点が大きくずれていると感じたり、多くの人に誤解を与えかねないことも少なからずあった。

ひろゆき氏を「ご意見番」としてさかんに取り立てるメディア側にも問題はあると思うが、ひろゆき氏の発言は、専門家から見て首をかしげるところは、筆者に限らず多々あるはずだ(実際、そういう話は別の分野の専門家からも聞いている)。

サントリーが考えた「広告効果」

ただ、今回の起用に関しては、「ひろゆき氏の○○の発言がダメだから、広告を取り下げるべきだ」という根拠となるようなものは見つけにくい。取り下げる場合は、サントリー側の説明は「過去の言動を総合的に判断して」という言い方になるのだろうが、それに対して「具体的にどの言動を不適切と判断したのか?」と逆に追及されることになるだろう。

そもそも、キリンの成田氏の降板自体が、そうしなければ収まらなかったかというと、そうとも言いがたい。キリンや成田氏に対する批判の大きさを考えると、成田氏を起用し続けるという選択肢もありえたと思う(それが最適な対応であるかはさておき)。

現実世界でひろゆき氏に浴びせられる批判も含めて、「広告効果」となるような施策を展開したサントリーは、結局、広告を取り下げることなく、話題を大きくすることに“成功”した。SNSでこの件を批判する人たちより、むしろサントリーはしたたかであったのではないかと思う。

西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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