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歌舞伎町「夜パフェ専門店」が繁盛する納得の理由 恋人2人が経営する店に見える「やさしい多様性」

東洋経済オンライン / 2024年4月28日 12時0分

営業時間は通常は夜間だが、日曜のみ昼営業をしている。その理由は、昼にしか来られない人もいるから。居場所として必要としてくれる人に、できるだけ開放したい思いがあるのだ。「昼営業の売り上げはあまり良くないんですけど、止めたくない。ずっとやっていきたいんです」と和志さんは言葉に力を込めた。

ロイトシロという店名は、『タンタンタンゴはパパふたり』という絵本に登場する、同性のペンギンのカップル「ロイ」と「シロ」が由来だ。ペンギンたちを、同じく同性のカップルである自分たちと重ねたのだった。

人気店ゆえに、ロイトシロはたくさん取材も受けており、「ゲイカップルが営む夜パフェ専門店」という風に紹介されることも少なくない。人によっては、ことさら「ゲイカップル」と強調されるのを好まない場合もあるだろうが、2人はあまり気にしていないようだ。

和志「嫌だという思いはないですね、事実だもん。隠しているわけでも、売り出しているわけでもないし」

玄太「ほかに面白い情報ないし。何でもいいよね」

和志「同性愛カップルが一緒にビジネスをする場合、こういうモデルケースもあるよっていうのを、世に示せてるのならいいかなって思いますね」

玄太「でも、ゲイのことを嫌いな人が、私たちのことを知らないでパフェを食べて、『美味いじゃん!』ってなったら、ざまーみろって思うかも(笑)」

2人が同性カップルであることを知ると、「どうして歌舞伎町でお店を? 新宿二丁目じゃないの?」と聞かれることも少なくないという。理由は、「本当の意味での多様性」を実現したかったから。性自認も性的思考も年齢も国籍も職業も経歴も考え方も、あらゆる人たちが集まってこそ、本当の意味で多様性。「いろいろな方が来てくれるのがいいんじゃないかな」という思いで、東京の縮図である歌舞伎町を選んだのだった。

2人は個性的な髪型をし、玄太さんはタトゥーやピアスやスプリットタン(先が二つに割れている舌)など人体改造を愛好し、和志さんはポールダンスに打ち込んでいる。いわゆる、メジャーと括られることが多くない趣味趣向や活動を堂々と実践し、好きだと公言することで、同じような立場の人々に勇気も与えているのだ。

今後、ロイトシロをどのようなお店にしていきたいか聞いてみた。

和志「ようやくコロナが落ち着いて、イベントとのコラボや、企画の案件をいただくようになったので、そういうのに力を入れていきたいです。歌舞伎町だけにとどまっていたので、もっと多くの人に周知してもらいたい。メディア露出もどんどんできたらと思います」

玄太「わかんない。まあ、お店が末永く続いたらいいですね」

和志「今は2人で回せる規模でね。もうちょっと人がたくさん来てくれたら、何か考えたいです」

2人の今後についてはどうなのだろうか。日本では同性婚は認められないが、ずっとパートナーでいようという、いわゆるプロポーズ的な意思表示はあったのか? 

2人「ないです(笑)」

玄太「現状では結婚できないし。結婚ができるようになったら、したいなぁと思うときはありますけどね」

和志「現状維持でいいんじゃないかなと思ってます」

欲があるようで、ないようでもある。2人は似ているようで、似ていないようでもある。常にマイペースかつ本音で生きる2人が営むお店も、2人の関係性も、きっとこれからも平和かつ穏やかに続いていくのではないかと感じた。

肥沼 和之:フリーライター・ジャーナリスト

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