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目指すなら今?行政書士「外国人支援」の深い魅力 外国人コミュニティーの「縁の下の力持ち」に密着

東洋経済オンライン / 2024年4月28日 11時40分

在留資格を通して、子どもの成長を家族とともに見守っているのである。

外国人同士が結婚すればどちらかが「家族滞在」になるし、子どもが生まれればその子の在留資格を取得するのも行政書士の仕事だ。日本に長年暮らしているうちに愛着を感じ、ずっと暮らしたいと思った人には永住権の手続きをサポートする。離婚のときはやっぱり在留資格の変更が必要だ。

行政書士はまさに外国人の生活を支える存在なのだが、複雑な案件が舞い込むことも多い。

「インド人のお父さんがシンガポールに転勤になったんです。すると、お父さんありきの在留資格である『家族滞在』の子どもたちは日本にいられなくなってしまいます。でも一家は日本に生活の土台があるし、子どもたちは日本の大学受験が迫っていて。

そこで『特定活動』(ほかの在留資格に該当しない目的で滞在する外国人の受け皿的なもの。ワーキングホリデーとかインターンシップ、国際交流などなど幅広い)にいったん移行して、受験に合格して大学に入ったら『留学』に切り替えたんです」

単に書類を埋めて申請すればいいわけではない

こうして人生そのものに寄り添っていれば、死に向き合うときもある。

「コックをしていたインド人の男性が交通事故で亡くなってしまったんです」

そのままでは妻子は「家族滞在」を失ってしまうが、子どもは日本で生まれ育ち、日本の文化や言葉を身につけて暮らしてきた。インドはルーツではあっても、故郷ではないのだ。そこで恩田さんは入管に働きかけ、「定住者」を取ることができた。就労に制限がなく、安定して日本で生活できる在留資格だ。

これらの手続きは、単に書類を埋めて申請すればクリアできるというものでもないのだそうだ。

「必要書類のほかに『理由書』が大事になってくるんです」

在留資格の取得や変更、更新などのために入管が求める書類がいろいろあるのだが、それとは別に、任意で「理由書」なるものを添付することが半ば慣習のようになっている。そして、必要書類とはされておらず任意であるはずの「理由書」次第で申請が許可されるかどうかが決まってくるという一面がある。

このあたりの曖昧さが入管行政の問題だという声もあるのだが、ともかくどういった理由でその在留資格が必要なのか、審査官が納得できるようしっかり申請者本人たる外国人から念入りにヒアリングし、

「人生をしっかり書き込むんです」と恩田さんは力を込めて話す。

だからこそ、家族の中に入っていって親しくなり、暮らしぶりを肌で知り、この国でいかに生きていきたいか、その切実な思いを聞き取って「理由書」に落とし込んでいく。

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