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アメリカ長期金利上昇でも金に投資していいのか 今後価格が急落するリスクは本当にないのか

東洋経済オンライン / 2024年4月28日 20時30分

3月のFOMC(連邦公開市場委員会)で発表された、ドットチャートと呼ばれるFRB高官の政策金利見通しを基にすると、市場では「今年3回の利下げ」が有力視されていた。だがその後、FRB高官からは相次いでタカ派的なコメントが相次ぎ、すでに今年の利下げは2回以下にとどまるとの見方が優勢だ。

長期金利の指標である同国の10年債利回りも4.50%をあっさり突破。昨年10月以来となる5%の大台を再びうかがうかのような勢いさえ見せている。

中東情勢など地政学リスクを背景に、“安全資産”としての金が買われる構図はわかりやすい。だが、長期金利の上昇が、皮肉にも金市場に買いを呼び込んでいるという側面もある。

上述のように、金利上昇は本来、金にとって大きな売り材料のはずだ。しかし、金利が上昇している中では、本来なら“安全資産”であるはずのアメリカ国債には売り圧力が強まる。そのため、リスク回避の動きが強まる中でもアメリカ国債に資金を振り向けにくい。国債を積極的に買うことができない分、今後も金市場への資金流入が続く可能性が高いとみておいたほうがよいだろう。

では、こうした地政学リスクに対する不安を背景とした、金の“安全資産”としての需要は、今後も金市場を押し上げ続けることができるだろうか。答えは「短期的にはイエスだが、中長期的にはノー」だろう。というのも、地政学リスクは、実は市場でそれほど長期間材料視されないからだ。

そもそも、イランとイスラエルが本格的な戦闘状態に突入する可能性は低い。さらに、もし戦争開始なら、両国の軍事力が均衡していない限り、どちらかの勝利によって戦争が早期に終結、リスクも後退することになる。また、仮に戦争が長期化したとしても、膠着状態に陥り消耗戦の様相を呈してくれば、徐々に市場の注目も集まらなくなってくるようになる可能性が高いからだ。

このように、相場が動き続けるには、つねに新たな材料が供給される必要がある。とくに地政学リスクに関しては、いったん戦争状態に入るまで状況が悪化しても、そこで「材料出尽くし」となり、価格下落のきっかけになる場合が多いことも忘れるべきではない。

これは2022年2月22日に始まったロシアによるウクライナ侵攻でも当てはまる。ロシアがウクライナに突如侵攻した際には、金価格は一時大きく反応した。だが、現在も戦闘は続いているが、市場はほとんど材料視しなくなっている。

また、古い話だが1990年、イラクがクウェートに侵攻したことに端を発した湾岸戦争でも、多国籍軍がイラクへの空爆を開始した時点で材料としては出尽くしとなっている。

株価急落時、マネーは必ずしも金市場に向かわない

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