日本の半導体の凋落招いた「日米協定」の無理難題 1986年の締結前は"日の丸半導体"が世界を席巻
東洋経済オンライン / 2024年4月30日 12時20分
PCやスマホなどの電化製品から自動車、社会インフラまでさまざまなシーンで活用され、もはや現代社会には欠かせない"産業のコメ"とも呼ばれる「半導体」。かつて、その半導体の分野で「日の丸半導体」として世界市場を席巻していた日本のメーカーは、なぜ凋落の一途を辿ってしまったのか。その知られざる「背景」とこれからの「展望」を半導体エネルギー研究所顧問の菊地正典氏が解説します。
※本稿は、菊地氏の著書『教養としての「半導体」』から一部抜粋・再構成しています。
装置メーカーは「トップ10」に5社がランクイン
半導体業界の中でも、「製造装置メーカーと材料メーカー」に目を転じると、そこには違う景色が見えてきます。
半導体装置メーカーの2005年における売上の世界トップ10は次の表の通りで、1位のAMAT(アメリカ)以下、東京エレクトロン(日本)、ASML(オランダ)、KLAテンコール(アメリカ)、ラムリサーチ(アメリカ)、アドバンテスト(日本)、ニコン(日本)、ノベラス(アメリカ)、SCREEN(日本)、キヤノン(日本)で、日本メーカーが5社を占めています。
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2009年になると、3位だったオランダのASMLがトップに立ち、同じくオランダのASMインターナショナルがベスト10に入ります。日本の製造装置メーカーは1社減ったものの、依然として4社がトップ10に入っています。2020年になると、AMATが首位をASMLから奪い返し、新たにテラダイン(アメリカ)、日立ハイテク(日本)がトップ10にランクインしています。
このように日本の半導体装置メーカーはデバイスメーカー(半導体メーカー、IDM)に比べてはるかに健闘しているといえます。ただ、詳しく見ていくと、トップ10の中での順位は少しずつ低下してきており、決して安心できる状況ではありません。
日本の装置メーカーには、新技術や新方式に対する果敢なチャレンジと、デファクトスタンダード(事実上の標準)化に繋がる開発力、さらにはしかるべきリソース(人材、資金)の投入が必要でしょう。
また韓国、台湾、中国は、「半導体デバイスの次は製造装置」と、すでにターゲットを製造装置の分野にしっかり絞り、猛追してくるのは必至です。それを振り切って現在のポジションを維持、さらには向上させていかなければなりません。
まだまだ大きな存在感を示す「材料メーカー」
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