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ユーチューバーら招待「新型やくも」試乗会の背景 周囲の乗客気にせず、自在に車内の撮影が可能

東洋経済オンライン / 2024年4月30日 7時30分

旧型のやくも号となる国鉄型の381系電車については「(車内の揺れで)よく乗り物酔いしていたのであまり好きではなかった」が、ゆったりやくもに改造された車両が登場してからは「重心が高くなり乗り心地が改善され嫌いではなくなった」と話し、「新型車両の新しい振り子装置には期待している」と話してくれた。特急やくも号の特徴である「振り子装置」とは、列車がカーブを通過する際に車体をカーブの内側に傾斜させることで遠心力を打ち消し、カーブ通過時の速度向上を図ろうとするものだ。旧型の381系電車ではこの振り子装置で不自然な車両の揺れを感じ乗り物酔いを訴える乗客が多発していた。

乗車後に改めてとしあきさんに話を聞くと「新型車両では、高速走行時の揺れは気になったものの、381系電車の時に感じた不快な揺れが軽減されていた。普通車の座席は劇的に乗り心地がよくなった」と印象を語ってくれた。さらに「営業運転開始後には、グリーン車などについてもじっくり追加取材をしていきたい」という。

SNSは媒体広告にはない拡散力がある

JR西日本山陰営業部の担当者は、企画の背景について「最大の情報発信ツールになりつつあるSNSは、媒体広告にはない拡散力があること」から、「多くの方々に273系新型やくもに『実際に乗ってみたい!』と感じていただくためには、車両のリアルな良さを発信していただけるインフルエンサーの方々のお力添えが効果的という結論に至った」と話す。

さらにJR西日本山陰営業部が事務局を務めている「山陰観光連盟」のSNSでの発信を通じて「その影響力の高さを実感していたこと」も影響しているという。

企画にあたっては、先行事例として2022年9月14日に実施されたJR九州の「西九州新幹線かもめをSNS等でPRしてくれる方を大募集!」を参考にしたという。JR九州の先行事例では、募集人数は1組最大3人までで同行者を含め合計約100人。SNSフォロワー数での応募条件はなく「投稿数やフォロワー数だけでなく、さまざまな切り口で、ワクワクする西九州新幹線の旅を発信していただける方」が審査のポイントになるというものだった。

しかし、今回の新型やくも試乗会では、ツイッターやインスタグラムなどSNSではフォロワー数1万人以上、ユーチューブではチャンネル登録者2万人以上のインフルエンサーが募集の対象となった。

基準を選定した理由とは?

こうした基準の選定について前出の担当者は、SNSについてはフォロワー数が1万人から10万人程度の「マイクロインフルエンサーといわれる層以上のインフルエンサーを募集の対象にした」という。特にマイクロインフルエンサーは、フォロワーとのコミュニケーションがしっかりとれていることが多く、発信した情報に対してフォロワーからのリアクションの割合が高くなる傾向が強い。こうしたことから「フォロワー数1万人以上という基準を設定した」と説明する。

一方で、ユーチューブについては、「映像による情報発信は他のSNSと比較して情報の訴求力が高いことから、より多くの方々に対して情報発信を頂きたいと思い、2万人以上という高めの基準を設定した」とのことだ。

近年のSNSの急激な普及から企業の広報活動にとって、SNS上で影響力を持つインフルエンサーは決して無視できない存在となった。こうした取り組みは今後も広がっていきそうだ。

櫛田 泉:経済ジャーナリスト

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