「上司は私」過度な序列意識が部下の恐怖を煽る 感情を排して部下を監督すると何が起きるか
東洋経済オンライン / 2024年5月1日 8時20分
意のままに部下に動いてもらおうと、「俺が上司だ」と序列を強要する上司はいないだろうか。
だが、統制と遵守が行き過ぎた形で根づいている環境では、恐怖心に常識が歪められても不思議はない。その結果、適切な行動や率直なやりとりが妨げることがあると指摘するのが、マルケ氏だ。
米海軍の原子力潜水艦「サンタフェ」で艦長を務めた経験を持つマルケ氏が提示する、チームの恐怖心を取り払う方法とは何だろうか。その著書『最後は言い方』より紹介しよう。
安全第一より序列第一となる組織は多い
「安全第一」を掲げる組織は多いが、人々がとる行動は実のところ「序列第一」だと言える。
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「疑問を持たず、命じられたとおりに行動すべし。そうしなければ深刻な事態に陥る」
繰り返し徹底してそう刷り込まれれば、その組織で働く人々は、何をするにも、それが命令どおりの行動かどうかを確認するようになる。
恐怖心をみくびってはいけない。統制と遵守が強く根づいている環境にあっては、恐怖心に常識が歪められても不思議ではない。
疑問を持つたびに息が詰まりそうになる思いをしていれば、しだいに自ら行動を起こさなくなっていく。
2015年にハリケーンのせいで沈没した貨物船「エルファロ」の高級船員たちは、船がハリケーンに向かって進んでいる(間違った進路を進んでいる)とわかっていた。
しかし、適切な軌道修正ができなかった(エルファロについては、こちらの記事も参照)。
自らの命が危険にさらされるなか、エルファロのチームは、舵手に方向転換を命じて航路を変更することもできた。
だが彼らがとった行動は、緊張した様子で自虐を交えながら、船長に向かってたどたどしい物言いで進路変更を提案することだった。
ハリケーンが迫る切迫した状況で、直ちに計画の変更を強行する必要があったのに、なぜそうもたどたどしく説得力に欠ける提案となってしまったのか?
しかも船長からは、電話をかけることや行動をとることを「ためらうな」と言われたあとに起こっているのだ。
必要に応じた行動、ものごとをわかっている人間による判断、深刻な脅威についての率直なやりとり。
これらを阻むものは、いったい何なのか?
「垣根を越えてつながる」とは
それはやはり、人々が抱える恐怖心、権力の勾配、心理的安全性の欠如が根底にある。
ここで紹介する、「垣根を越えてつながる」とは、恐怖心への対抗手段となるものだ。
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