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『silent』手掛けた敏腕P「企画書は見た目が9割」 わかりやすくできないなら企画自体を捨てよう

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 13時30分

企画書の1枚目を見た時に「面白そう」と思わせるためにはどうすればいいか。僕のやり方は、表紙に写真を一枚だけドンと置く、というスタイル。表紙に置く写真の絵柄は、その企画のイメージを自分の中で膨らませていった先にあるような、企画を象徴するものにします。

『silent』の企画書の表紙にも、一枚の写真を置きました。真っ白な雪原の中に木が一本だけ立っていて、その向こうにはうっすらと穏やかな日差しが差し込んでいる写真です。

劇中に雪原のシーンは一回も出てきません。だけど、僕の中では『silent』の企画を思いついた時のイメージがこの雪原でした。『silent』というタイトルもこのイメージと同時に決めていたので、『silent』というすべて小文字のアルファベットも、雪原に立つ一本の木とともに企画書の表紙に入れ込んであります。

この本の中で何度か「同じ船に乗る」という言い回しで、企画を進める仲間たちについて語ってきました。その船の旗印となるのが、企画書の表紙のイメージなのかもしれません。チーム全員で一つのイメージを共有するという意味でも、企画書の表紙にはかなりこだわっています。

見せる相手に合わせて微修正。

細部の話になりますが、企画書の色使いやフォーマットなどにも注意を払っています。色使いやフォントは、企画書の見た目を少しでも良くするために手をかけている部分。企画書のタイトルを何色にするか、文字の大きさをどうするか、それだけで2時間くらいかけることもあります。企画書のフォーマットは、過去に自分が作ったものをずっと使い回しています。

PowerPointのデザインを使いつつ自分なりに作り上げたスタイルなので、パッと見の印象がほかの人の企画書と被ってしまう、ということがまずありません。それに、同じフォーマットを使い続けていると、レイアウトを見るだけで僕の企画書だということが伝わるというメリットもあります。フジテレビの上層部や編成の皆さんはきっと、表紙を見ただけで僕の企画書と分かってくれているんじゃないかと思っています。

また、見せる相手に合わせて企画書の見せ方を少しずつ修正することも少なくありません。役者さんに見せる時には、その人の役どころが一番分かりやすくなるように説明を増やしたりします。

「見た目」の次に大事なのは「分かりやすさ」。

当然ですが、どれだけ見た目が良くても、中身が分かりにくい企画書ではダメ。企画書で「見た目」の次に大事なのは「分かりやすさ」です。かと言って、長々と文章で説明するのも逆効果だと思います。僕がドラマや映画の企画書を作る時に目指している分量は、できれば1ページか2ページ、多くても5ページくらいまでです。そして5ページ見たら中身が分かるように、内容を簡潔にまとめることを意識しています。

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