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つんく♂が今、「モーニング娘。」に伝えたいこと アイドルへのアドバイスがなぜ社会人に響くのか

東洋経済オンライン / 2024年5月3日 8時0分

――凡人にとって重要なのは地道な努力を続けることである、と。

本当は、僕たちが「天才」と呼ぶ人、究極のプロたちだってとんでもなく地道な努力をして、想像を絶する苦労をしているのかもしれない。きっとそうです。でも、「大谷翔平は天才だから」「Mr.Childrenは天才だから」「ジャスティン・ビーバーは天才だから」と言えたほうが楽になれる。そして、「あの人は天才だから、比べないでよ」と言えるほうが自分なりの努力を続けられるんじゃないか。

自分が太刀打ちできない圧倒的な誰かを「特別」な存在とすることで、気持ちが落ち着くし頑張れるというか。

そして、そういう天才たちの言葉はメディアにあふれているけれど、それを真似したからといって同じようにはなれない。天才(≒究極のプロ)と同じ列に並んで競おうとしたらダメだということです。真正面からぶつかるんじゃなく、別のアプローチで地道にコツコツ頑張っていたら勝てる部分が出てくるかもしれない。ある意味、天才は「仮想敵」なんです。

――仮想敵として見るから、自分との差を冷静に分析できるということですね。今、「モーニング娘。」の「仮想敵」として設定しているグループはありますか。

天才とは違うかもしれないけど、K-POPは大きなライバル、1つの目標です。ただ、BTSの世界的な成功を見れば見るほど、あのラインを安易に追いかけ始めると危ないな、と思います。

「BTSみたいなグループを日本でも作ってよ」と言われてその道を突き進もうとしたら、絶対に勝てない。成功しているBTSは「特別だから」ということにして、別のアプローチでやっていくほうがいい。同じ列には並ばない。そうすると、どこかで順番が回ってくる。

「順番が回ってくる」瞬間

――私は初期のモーニング娘。世代で、中学生の頃、「LOVEマシーン」の大ヒットに触れました。今以上にヒット曲の影響の大きい時代で、どこに行っても「LOVEマシーン」が流れていましたが、順番が回ってくるというのはそういうことでしょうか。

そうですね。もちろん、「LOVEマシーン」と同じタイプの曲を何曲も作り続けてきたから順番が回ってきたという話ではない。ただし、僕の中にあるアイデアをどんなふうに出していくかの試行錯誤を積み重ねていく中で生まれた「LOVEマシーン」がヒットしたことは、「順番が回ってきた」と言えるのかもしれません。

モーニング娘。のプロデュースではそれまでにやれていなかったことや、僕自身がアーティストとしてシャ乱Qでやり切れなかったことを次々に試しました。そんなふうに積み上げていったものがあの時代のモーニング娘。だったんです。

(5/4公開予定の「中編:つんく♂楽曲のすべてに通底する「本質」とは何か」に続く)

山本 舞衣:『週刊東洋経済』編集者

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