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インフレ・金利上昇、マンション購入は急ぐべき? 長期では、マンション所有は3つのリスクの塊

東洋経済オンライン / 2024年5月3日 11時10分

② 大規模修繕リスク

マンション販売では、購入のハードルを下げるために修繕積立金を低く設定しているケースが多く、修繕積立金が不足する物件が全体の38.4%に達します(国土交通省、2018年)。昨今の修繕費用の高騰で、この割合は今後さらに上昇するでしょう。修繕積立金の不足で大規模修繕ができないと資産価値が下がり、最終的にマンションは廃墟になります。

③ 地震リスク

2020年1月時点で、M7程度の首都直下地震が今後30年以内に70%の確率で発生するとされていました(地震調査研究推進本部地震調査委員会)。「耐震基準を満たしているから大丈夫」と思っても、建物はどんどん老朽化し、適時適切に修繕が行われるのか不確かです。地震大国の日本でマンションを購入するのは、資産価値うんぬんの以前に「命懸けの選択」と言えます。

こうした長期的なリスクを考えると、マンションを急いで購入するどころか、「買わない」という選択も検討の俎上に載せるべきではないでしょうか。

賃貸なら資産価値が下落するリスクは無関係ですし、賃貸でもタワマン生活を満喫できます。また、ライフステージや家族構成に合わせて住み替えるという点で、賃貸のほうが合理的です。

いまは絶好の売り時?

不動産の「購入か賃貸か」という定番の議論で、購入派はよく「賃貸だと賃貸料を払うだけで、資産として残らない」と主張します。しかし、これは不動産価格が猛スピードで上がり続けた昭和の発想です。

賃貸であっても、ローン返済がない分を別のところに投資すれば、ちゃんと資産は残ります。平成以降、マンションではなくアメリカ株に投資していたほうが、はるかに資産額が増えました。

もちろん、今後マンションと株のどちらが優位かは不明です。ここでは、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット(93歳)が自分の遺産をS&P500連動のETFで運用するよう家族に指示しているという事実を紹介しておきましょう。

とすれば逆に、居住目的であれ投資目的であれ、すでにマンションを所有している人にとっては、高値圏でまだ短期・長期のリスクが顕在化していない今は、絶好の売り時と言えるかもしれません。

繰り返しますが、多くの日本人にとってマンションは人生最大の買い物。不動産業者の営業攻勢や短期的な市場動向に惑わされず、リスクを直視して判断したいものです。

日沖 健:経営コンサルタント

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