小池氏が担いだ乙武氏惨敗で都知事選に「暗雲」 学歴詐称疑惑再燃、「思わぬ苦戦」の可能性も
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 9時0分
東京都知事選(7月7日投開票)が目前に迫る中、小池百合子都知事が窮地に追い込まれている。政局を揺るがせた「4・28トリプル補選」の1つの衆院東京15区補欠選挙で、自ら担ぎ出した乙武洋匡氏と二人三脚での選挙戦を展開したにもかかわらず、当選した立憲民主公認候補に大差の5位と惨敗したからだ。
乙武氏の過去の「女性問題」や、無所属にこだわって自民、公明の支援が得られなかったことなど、「悪条件はいろいろあったが、選挙直前の小池氏の学歴詐称疑惑再燃による支持離れが大きな要因」(選挙アナリスト)との見方が支配的。選挙戦を支えた小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」幹部も、「想定外の結果で、負けすぎ」とうなだれる。
これにより、補選前には永田町で飛び交っていた「小池氏の国政復帰」の臆測も消え去り、次期都知事選での「記録的圧勝」による3選にも、暗雲が広がり始めている。小池氏サイドは「都知事選ではすでに自公との協力関係を構築しており、野党側にも有力な対抗馬擁立の動きがないので、勝利は動かない」(側近)と強気だが、学歴詐称疑惑の今後の展開次第では、「思わぬ苦戦を強いられる」(選挙アナリスト)との声も出始めている。
乙武氏、立憲・酒井氏に大差の5位に
大乱戦として注目された東京15区(江東区)補選は、結果的に立憲民主が擁立し、共産が候補を降ろして支持に回った酒井菜摘氏が、約5万票を獲得して圧勝。小池氏の全面支援で酒井氏を追い上げていたはずの乙武氏(無所属=都民ファ副代表)は、他の無所属や日本維新の会、諸派の候補にも及ばない2万票足らずの得票で、9人中5位に沈んだ。
岸田文雄政権の命運が懸かったトリプル補選は、投票が締め切られた28日午後8時に、NHKはじめ主要メディアがそろって、酒井氏を含めた立憲民主公認候補の「当選確実」を速報し、「自民『全敗』・立憲『完勝』」の大見出しでの臨時ニュースを流した。
そもそも、今回の自民の「全敗」は、選挙期間中の各種情勢調査通りの結果で、巨額裏金事件とその対応への国民の強い不満、反発が、最大の要因であったことは間違いない。ただ、自民不戦敗の中で各党・各政治団体の候補が乱立した東京15区では、「裏金事件よりも、小池氏の担いだ乙武氏の得票が注目されていた」(選挙アナリスト)だけに、小池氏への大きな打撃となったのは間違いない。
今回の乙武氏の選挙活動では、小池氏が12日間の選挙戦のうち9日間も応援に入るなど、まさに陣頭指揮で勝利を目指した。3月末の定例会見で、都民ファ政経塾の講師役も務めた乙武氏の擁立を公表した小池氏は、選挙期間中も運動員とおそろいのジャンパー姿でウグイス嬢を買って出て、選挙カーから「乙武洋匡、何としても勝たせていただきたい」と連呼し続け、側近も「自分以外の選挙で、こんなに力を入れているのは見たことがない」と驚くほどだった。
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