日本人はなぜ全世代で「中島みゆき」が好きなのか デビューした1970年代から全年代で1位獲得の訳
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 12時30分
気がつけば、日本には、ずっと彼女の歌がそばにある――。
1970年代、80年代、90年代、2000年代、すべての時代でオリコンのシングルチャート1位を獲得しているソロアーティスト、中島みゆきだ。
1975年のデビューから愛され続けている彼女。デビュー50周年を目前にして、さらに注目度が高まっているのだ。
4月6日から18年ぶりに復活したドキュメンタリー番組「新プロジェクトX」では、前回同様に主題歌を担当。『新・地上の星』が流れ、視聴者の心を再び奮い立たせている。
そして角川武蔵野ミュージアムでは、4月20日から「中島みゆき展 『時代』2024 めぐるめぐるよ時代は巡る」(6月23日まで)が開催中だ。
時代に“愛される”というより、もはや“求められる”中島みゆき。価値観がまったく違う団塊の世代と令和のZ世代が、ノスタルジーという感覚を抜きに彼女の歌を聴き、つらいときには励まされ、脚を踏ん張るのだ。
そんなアーティストは、他になかなかいない。
「暗い」「怖い」と言われた1970年代
中島みゆきは1975年、『アザミ嬢のララバイ』でデビュー。さらには同年、シンガーソングライターの登竜門、ヤマハポピュラーソングコンテスト、通称「ポプコン」で『時代』を歌い、グランプリを獲得している。
なんと彼女とポプコン本選への切符を競った北海道大会出場者には、安全地帯もいたという。ボーカルの玉置浩二はまだ学生だったそうだが、中島みゆきと安全地帯が競う予選とは、想像しただけで動悸が激しくなる。
そして、あの名曲『時代』が、この時期にすでに作られていたことにも驚く(中島は当時23歳)。
ただ、中島本人は以前この曲について、当時の流行には乗っていなかったため、次の新曲が出るまでのものだと思っていたと歌番組で語っていた。ここまで息が長く愛されるとは想定外だったようだ。
自身のデビュー曲『アザミ嬢のララバイ』も好調、1976年には研ナオコに提供した『LA-LA-LA』もヒットし、初盤からまさに順風満帆。それは間違いないのだが、70年代、80年代中盤頃までは、彼女のイメージは決して“華やかな売れっ子”ではなく、暗さのほうが目立っていた。
「ひとりで泣いてちゃみじめよ」と歌う『アザミ嬢のララバイ』から始まり、『わかれうた』(1977年)、『ひとり上手』(1980年)と、シングルで次々と、どん底の失恋と孤独を歌っていたからだ。
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