日本人はなぜ全世代で「中島みゆき」が好きなのか デビューした1970年代から全年代で1位獲得の訳
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 12時30分
彼女の歌には、負の感情と向き合う陶酔感すべてが詰まっていた。
ただ、1979年4月から「中島みゆきのオールナイトニッポン」がスタートし、楽曲のイメージとはまったく違う、明るくハイテンションな彼女のキャラクターが、徐々に認知されていくのである。
曲は暗くて怖いのに、おしゃべりは面白い。そのギャップがまた、彼女の人気を定着させた。
1980年に入ってもシングルは売れ続け、『悪女』(1981年)、『誘惑』『横恋慕』(ともに1982年)、『あの娘』(1983年)など、コンスタントにヒットしている。
意外とアイドルと相性がいい
中島みゆきの失恋ソングは、意外とアイドルとも相性がよく、多くの若い才能を花咲かせている。
1976年からすでに楽曲提供を始めていた中島だが、センセーショナルだったのは、桜田淳子。当初は阿久悠の楽曲『わたしの青い鳥』(1973年)や『夏にご用心』(1976年)などで、弾けた笑顔が似合うキラキラのアイドルという印象が強かった。
しかし、中島が提供した『しあわせ芝居』(1977年)や『追いかけてヨコハマ』(1978年)で、“逃げられる歌”が似合う実力派歌手へと見事に脱皮していった。
1980年代は、柏原芳恵が『春なのに』や『カム・フラージュ』(ともに1983年)などで独特の太い声でむくわれなさを表現し、工藤静香は『黄砂に吹かれて』(1989年)で、華やかさの中に誰にも理解されないような孤独を歌った。
個人的には、三田寛子の風に吹かれて飛んでいきそうな『少年たちのように』(1986年)が、儚くてとても好きだった。
平成に入ってからも、TOKIOの『宙船』(2006年)、ももいろクローバーZの『泣いてもいいんだよ』(2014年)など、グループアイドル独特の力強さを通じて、立ち上がるメッセージを送っているようだった。
彼女の歌の醸し出す哀しさは、若いアイドルには荷が重そうにも見えるが、その重さが、彼ら、彼女たちの新たな魅力を引き出すのに有効だったようにも思う。笑顔の裏の見えない涙や大人びた決心など、それぞれの心の中をのぞいている感じになるのだ。
中島みゆきの世界が持つ“面倒臭さ”を歌うのは、世慣れたベテランのほうが意外と難しいのかもしれない。
提供曲ではないが、テレビドラマ『3年B組金八先生(第2シリーズ)』第24話「卒業式前の暴力(2)」(1981年放送)で、彼女が歌う『世情』(1978年)が挿入歌として使われたときも、思春期の若者が持つ絶望感と歌がぴったりと合っていた。
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