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孤独の大家が語る「人が80代になって後悔する事」 多くの人は「何が普通なのか」を気にしている

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 12時20分

例えば、インドを発展途上国と呼ぶか先進国と呼ぶかはわかりませんが……多くの人々が村から都会へと移り住んでいます。中国でも同じことが起きています。若者が就職のチャンスを求めて大都市に移り住むと、家族を残して出て行くことになります。

結果、例えば祖父母は孫の面倒を見ることができなくなったり、子どもができた時に必要な子育ての援助を親や祖父母から受けられなくなります。

また、村や小さな町から大都市に引っ越した場合、旧交を温めることは容易ではありません。これは、先進国は当たり前のことですが、社会的構造が急速に変化している発展途上国でも起こっていると私たちは考えています。

――人は希望をかなえるために、そしてより豊かになるために懸命に働くのに、気がついたら以前より孤独になっていると……。

その通りです。

被験者たちが80代になった時に、自分の人生を振り返って一番後悔していることは何かと尋ねたところ、一番多かった後悔は、仕事に時間を費やしすぎて、大切な人たちと過ごす時間が足りなかったということでした。

――ご自身は、家族と十分な時間を過ごしてきたと思いますか?

どれだけ過ごしても「十分」ではないですね。ただ、この研究をしていたいこともありますし、私の父はいつも働いていて、大人になるまで父のことをよく知らなかったので、自分自身は父親の役割を果たしたいと、時間を計画的に使うようにしました。

今となっては、それができて幸運だったし、それができる仕事を選ぶこともできました。ただ一方で、私のキャリアは多くの同僚よりも遅れていました。仕事を減らして家族との時間を増やすことを選んだからです。

――それで満足ですか?

とても幸せです。だって今となっては、私がどれだけ多くの科学論文を発表したかなんて、どうでもいいじゃないですか。

アメリカには今、とても参考になる格言があります。それは、「20年後、あなたが会社で遅くまで働いたかどうかを覚えているのは、あなたの子どもたちだけだ」というものです。

――この研究をしたことで、先生の人生に影響を与えたことは他にありますか?

人生には実にさまざまな生き方があることを知りました。私がどれだけ賞を取ろうが、どれだけお金を稼ごうが、誰も気にしない、ということです。

もちろん仕事は重要ですし、私は自分の仕事をとても大切にしています。でもそれは例えば、仕事で何か賞を得よう、と努力しようということとは違います。賞を取ったってそんなこと誰も気にしないのですから。

多くの女性が晩年後悔すること

――著書の中ではいかに若い世代が有名になることを重視しているかが出てきますね。

今の名声とはすなわち、ソーシャルメディアにおけるインフルエンサーです。それが自分の人生を左右すると考えているのです。ただし、SNSの問題はほとんどが「作り上げられたもの」だということです。

10代や20代ならそう思っても仕方ないかもしれません。ただ、80代の被験者に話を聞くと、多くの人、特に女性が「他人の目を気にすることに時間を費やさなければよかった」と話します。

他人が自分のことをどう思うか、他人が何かについてどう思うかを気にしなければよかった、彼らの人生ではなく、自分の人生を自由に生きればよかった、と。

若い人たちにはこのことを知ってもらいたいと思います。他人があなたのことをどう思うのかなんて結局のところどうでもいいということです。

倉沢 美左:東洋経済 記者

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