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ビッグモーター再建のカギは伊藤忠エネの現場力 第一陣として「精鋭部隊」の約40人を送り込む

東洋経済オンライン / 2024年5月6日 8時0分

WECARSの社長CEOには伊藤忠商事の元執行役員である田中慎二郎氏(中央)が就任。副社長COOは伊藤忠商事執行役員で直近まで生活資材・物流部門長だった山内務氏(左)が務める。会見には伊藤忠商事の住生活カンパニープレジデントである真木正寿執行役員(右)も同席した(撮影:尾形文繁)

新社名は「WECARS」(ウィーカーズ)。「車とともに生きる一人ひとり」から必要とされる会社を目指すという。

【写真】ビッグモーター創業者の兼重宏行氏は2023年7月に社長を退任した

伊藤忠商事は5月1日、子会社で燃料商社大手の伊藤忠エネクス、再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)とともに、中古車販売大手ビッグモーターから事業を承継し、新会社を発足させた。

出資額は計400億円。JWPが50.1%、伊藤忠グループが49.9%を出資する。金融機関からの借り入れも行い再建の原資とする。2~3年後の黒字化を目指し、伊藤忠はその段階で100%子会社化する方針だ。

ビッグモーターの看板は数カ月かけ順次、「WECARS」に入れ替えていく。旧会社が金融庁から自動車保険の代理店登録を取り消されているが、新会社では伊藤忠グループのほけんの窓口を活用して保険のサービスを補う考えだ。

新社長が期待する「現場力の高さ」

ウィーカーズの社長CEOには伊藤忠商事元執行役員の田中慎二郎氏(61)が就いた。会見では、「各種改革プログラムを貫徹しウィーカーズは変わったと実感してもらうことで、社員に対する信頼も築かれていく」と語った。

田中社長は伊藤忠商事時代、タイヤ関連事業部長を経て、北米の建材会社マスターハルコの事業再生にも取り組んだ。最近ではやはり社員の荒廃が目立ったイギリスのタイヤ小売りであるクイックフィットに派遣され、同社を再建させた実績を持つ。

一方、現場の店舗で再建のカギを握るのは伊藤忠エネクスだ。関係者によれば、そもそも最初にファンドからビッグモーターの再建案件が持ち込まれたのは伊藤忠エネクスだったという。

2023年度実績で営業収益が9600億円台の伊藤忠エネクスの事業領域は、ガソリンなどの燃料卸・小売りだけにとどまらない。

カーディーラー事業には2014年に参入。日産の正規ディーラーで100店舗超を抱える日産大阪販売を傘下に抱える。ディーラーネットワークも100店以上に及ぶ。中古車販売、レンタカーのサービスも手がけている。

自動車関連サービスだけをみても、同じ伊藤忠傘下で中古車販売のヤナセやニッポンレンタカーを持つ東京センチュリーと比べ、事業の幅広さが特長だ。

249店舗を引き継ぐウィーカーズとしても頼りになる存在だ。「現場力の高い伊藤忠エネクスの力を借りて、少しでも早く再建を進めていきたい」と田中社長は語る。実際、伊藤忠グループからの50人以上の派遣部隊のうち40人程度が伊藤忠エネクスからの派遣だ。今後も同社からの派遣部隊は増えるという。

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