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サイゼ1号店「悪評だけだった」意外すぎる始まり 「わけのわからないものを出しているらしい」

東洋経済オンライン / 2024年5月7日 13時30分

しかしあるとき、私は3つのことに気づいたのです。

1つ目は、「サイゼリヤのメニューは、どれもうまい」というのは完全な勘違いで、実は「まずい」ということ。

2つ目は、「サイゼリヤの価格は安い」というのは思い込みにすぎず、実は「高い」ということ。

3つ目は、「最悪だ」と信じていた店の立地は、「最悪」なんかではなく、母の言う通り実は「最高」だったこと……。

サイゼリヤの1号店は、実際のところ、確かに商売には向いていない立地でした。だからこそ、たくさんの工夫や改善を重ねることができたのです。その結果として、サイゼリヤの強みである「低価格、高品質、高生産性」に向けて努力することができた。私はそう理解しています。

現在、サイゼリヤは海外も含めて1500店舗以上を展開しています。もし1号店が「商売に向いている立地」だったら、どうなっていたでしょうか?

街場のレストランで終わっていたかもしれません。普通の料理を出していても、立地が良ければお客様は来ますから、工夫も改善も必要がないのです。

母が何度も指摘してくれたように、商売に向いていない立地に店を出したことは、偶然とはいえ非常にラッキーだった。ようやく、そう気づけたのです。

とはいえ、現状「さしておいしくないメニュー」を、劇的においしくするのは至難の業でした。でも、私にすぐできることがありました。

自分中心をやめることが「成功の近道」

それは値下げです。お客様は1円でも安いほうがうれしいに決まっています。

最初は、まず全体的に価格を3割下げました。しかし、客足は変わりません。

次に、5割引きに踏み切りました。つまり半額セールです。それでも、お客様の数は増えません。

そこで、お客様に来ていただきたい一心で、7割引きにしたところ、突然お客様が殺到し始めたのです。

客数でいうと、それまでが1日5~10人だったのが、7割引きにしてからは1日なんと約500人。7割引きセールは、当時は大赤字でした。それはまさに文字通り、採算度外視の出血大サービスだったのです。

ですが、新規のお客様が増え、リピーターになってくださる方も増え、徐々に粗利が出てくるようになると、経営も安定するようになりました。

私たちの頭の中に浮かぶ考えは、だいたい「自分中心」のもの。それをやめるためには、いったんその考えを逆にしてみると、真実に近づけます。優秀だと思っていた自分は、実はまだまだ力不足なのかもしれない。最悪だと思っていたあの人は、実は私にとって最高かもしれない。

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