1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

超希少「データ人材」本気で育成する現場のリアル 滋賀大学、資生堂の現場を訪ねてみた

東洋経済オンライン / 2024年5月8日 10時40分

グループ全体がデータを基に意思決定を行うデータドリブンカンパニーとなるための根幹を支える組織として、ITコンサルティングファームであるアクセンチュアとのジョイントベンチャーとして立ち上がった。

大手企業の中には、データサイエンティストを自社で抱えるのではなく、データサイエンス人材を多く抱えるIT専門集団に任せるという所もあるが、資生堂は内製化の道を選択している。

理由は明快だ。ビューティー領域のメーカーのため、美容に対する知見がなくてはお話にならない。外部パートナーはITに関してのエキスパートであったとしても、ビューティービジネスについての知識を持ち合わせてないことがほとんどだ。

その点、社内にデータサイエンスの専門家がいれば、データの裏側にある背景・経緯を踏まえたうえでデータ分析、インサイトの提供が可能となる。また社外の専門家に任せるよりも各段に速く分析結果を実行フェーズに落とし込めるため、ビジネスを加速することが可能になるという。

同社はデジタルマーケティングとITの2つをビジネスの柱に据えて活動している企業だが、いずれのチームでも重要視されているのが自走・自立する力だ。半期ごとにスキルアセスメントを実施し、社員の力の底上げを図っている。こうした研修の充実具合も求職者には魅力に見え、採用を有利にしている。

データサイエンティストのキャリア形成

新規の採用に加えてもともといた社員に対してのスキル強化も始めている。資生堂を母体として生まれた同社には、新たに採用した人の他、資生堂から異動した社員もいる。こうした社員の中にはビューティー分野に関する知識は豊富なものの、デジタルマーケティングや、IT知識についてはこれからという人も多い。そのため、各自がどの程度のスキルを持っているか、定量的にトラッキングする仕組みを作り、力の底上げを図っているのだ。

同社のKPI(重要業績評価指数)では、データエンジニアや、ITストラテジストなど、IT・デジタルマーケティング領域 で自立・自走がより色濃く問われる業務に関連した人材を「ウェーブ1人材」と呼んでいる。領域には「P3ミドル以上」という表記がある。

KPIとは、Key Performance Indicatorの頭文字を取った言葉。簡単に言うならば、目標を達成するために、日々どのようなことを行い、達成する必要があるかを見える化したものだ。

同社のいう「P3ミドル」は、コンサルティングファームでいうところのマネージャークラス以上に匹敵する能力となる。同社では、半期に1度スキルアセスメントを健康診断のように行うことで、足りない部分を可視化、そこを補うような研修を行う仕組みができている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください