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財務省の信用を失墜させかねない「一枚の資料」 これこそが「日本経済凋落」を招いた真因だ

東洋経済オンライン / 2024年5月9日 10時0分

特に、この論文の中で、1997年から20年間のOECD諸国の政府支出の伸び率とGDP成長率の相関を示した「図表1」における日本の位置に着目されたい。

この20年間で、OECD諸国の中で最も低成長であるだけではなく、最も政府支出の伸び率が低かった国、それが日本である。

要するに、財政出動が成長につながるか否かを議論する以前に、日本は、1997年から20年間のゼロ成長の中で、ほとんど財政支出を拡大していなかったのである。

財務省の資料には「拡大する財政出動の結果、過去20年で政府債務残高は約2倍となったが、名目GDPはほぼ横ばい」などと書いてあったが、冒頭から虚偽を記載している。

正しくは、「財政出動を拡大していないにもかかわらず、過去20年で政府債務残高が約2倍になった」のだ。

経済財政に関する見識のなさ

だが、この財務省提出資料の問題は、財務省が悪いなどという話にはとどまらない。

なぜなら、これほど間違いだらけの資料が公開されたというのに、出席していた財政審の委員たちはもちろん、経済学者など有識者の誰からも、この問題点を指摘する声が出てこなかったからだ。

この経済財政に関する見識のなさこそが、日本経済の「失われた30年」の真因である。そう思わざるを得ない。

おそらく、「経済学者・経済官僚の知的水準」と「実質経済成長率」との関係には、強い正の相関があるに違いない。

中野 剛志:評論家

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