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「仕事やらなきゃ」「でも、やる気出ない」最強取説 動けない現代人のための「心の勢い」の作り方

東洋経済オンライン / 2024年5月9日 9時0分

体と心は表裏一体。行動と感情は、密接に関係しています。むしろ、行動から感情が生まれるのだという考え方が、モメンタムの基本。「やる気があるから行動する」のではなく「行動するからやる気が出る」のです。同じように、「おかしいから笑う」のではなく、「笑うからおかしくなる」のです。これは脳科学でも実証済み。たとえそれがウソの笑いでも、笑っているうちに、本当におかしい気持ちになってきます。(30ページより)

だからこそ、モメンタムを発動させるためには、「なんでもよいので行動する」ことが重要なのだという。

たとえば「会社に行きたくない……」とベッドのなかで悶々とし続けたとしても、「会社に行きたい」という気持ちが芽生えるはずはない。しかし、ただ「立ち上がる」だけならできるかもしれない。それが重要で、つまり「立ち上がる」だけでも心は動き始めるというのだ。

行動科学の手法にも、これを利用したものがあります。パソコンを使わせず、参加者全員を立たせて討議をするのです。すると全員の集中度が高まり、討議が活性化。まして、うたた寝をする人などいません。(31ページより)

あらゆるシチュエーションで、「行き詰まったら動く」ことを意識してほしいと著者が主張するのは、こうした理由があるから。なお、立ち上がるだけでなく、背伸びをする、歩き回る、ラジオ体操をする、軽くジョギングするなどの行動も、モメンタムの発動に効果的だそうだ。

ヨガの秘術「火の呼吸」を行う

加えて「呼吸」も、モメンタムに影響するようだ。たとえばここでは、モメンタムを高めるために使える呼吸法のひとつとして、クンダリーニヨガに伝わる呼吸法「火の呼吸」の簡易版が紹介されている。

背筋を伸ばして、「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」と息を短く、強く吐いてください。わかりやすく「ハッハッハッ、ハッハッハッ、ハッハッハッハッハッハッハッ」と、三三七拍子にしても結構です。
火の呼吸をすると激しい運動をした後のように心拍数が上がるため、アスリートのトレーニングにも取り入れられています。(32ページより)

とはいえ、もちろんアスリートと同じことをする必要はなく、多くても5〜10回にとどめておくべき。やりすぎると酸素過多による過呼吸を起こす恐れもあるので、特に心臓の欠陥系に不安がある方は控えたほうがいいようだ。あくまで無理のない範囲で、ということ。

なぜ、呼吸がモメンタムに影響するのかというと、自律神経が関わっているからです。火の呼吸は交感神経に作用します。交感神経とは身体が活動的になるときに優位になる神経のこと。モメンタムに着火させるための呼吸ともいえます。(32ページより)

冒頭でも触れたように、著者の2人が提唱しているのは、マインドフルネスで心を落ち着かせ、モメンタムで心を勢いづけることである。自動車に当てはめて考えるなら、きちんとチューンナップしたうえでエンジンをかけ、適切な環境でぐっとアクセルを踏み込むようなイメージだろうか?

という比喩が適切であるかどうかは別としても、そもそもマインドフルネスのルーツである禅には、「心を落ち着かせる」要素だけでなく、「心を勢いづける」モメンタムの要素が多分に含まれているのだという。

だとすれば、たしかに本書で解説されている概念は「動けない自分」をなんとかするための起爆剤になってくれるかもしれない。

印南 敦史:作家、書評家

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