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「大画面iPad」が9万円安く買えるようになる意味 キーワードは「ディスプレー」「AI」「操作性向上」

東洋経済オンライン / 2024年5月9日 11時20分

これまで11インチモデルは大画面モデルのような高輝度・高コントラストに対応しなかったため、小型モデルのユーザーにとっては待望の高品質ディスプレーとなる。通常は1000ニト、最大輝度は1600ニトに引き上げられた。

引き締まった黒と明るさ、発色を見ると、新しいディスプレーは非常に魅力的に映る。しかしこのディスプレーを実現するためには、Appleシリコンの再設計から出発しなければならなかった点には、アップルのエンジニアリングへのこだわりを強く感じさせる。

M4チップ投入で過激化するAI性能

今回のサプライズは、iPad Pro向けに最新のアップル自社設計のチップとなるM4が搭載されたことだ。

第2世代3nmプロセスを採用し、これまで100GB/秒だったメモリー帯域幅が120GB/秒に向上。M3で搭載したレイトレーシングなどのハードウェアアクセラレーションといったグラフィックス性能、そしてオンラインビデオの規格であるAV1のサポートなどが盛りこまれた。

Macにもまだ搭載されていないM4をiPad Proに搭載した理由は、新しいディスプレー技術であるTandem OLEDを搭載するためだという。これまでより複雑なディスプレーを、低遅延、低消費電力、正確な色と明るさの再現で制御する設計が盛りこまれた。明言はされなかったが、将来の有機EL搭載Macへの布石ともなるだろう。

加えて、機械学習、AI処理を司るニューラルエンジンも高速化され、M2で毎秒18兆5000億回だった処理性能は、M4では毎秒38兆回にまで引き上げられている。

iPad上で、画像やテキストの処理、画像解析、映像や音声のリアルタイム処理などを行うアプリケーションが揃いつつあり、同等のパフォーマンスを発揮できるライバルが存在しない状態をアピールすることで、生成AIとは異なるより幅広いAIの活用において、「iPadの圧倒的な差」があることを強調している。

新アクセサリーにも「驚き」が

薄くなったiPad Pro向けには新しいMagic Keyboardが用意された。キーボードのパームレスト部分の素材がアルミニウムに変更され、耐久性が向上している。

またキーボードには、画面の輝度や音声入力、再生コントロールなどを行うことができるファンクションキーが新たに搭載され、操作性が向上している。

それ以上に注目すべきは、大幅な軽量化だ。特に13インチモデルとMagic Keyboardの組み合わせは、13インチMacBook Airと同等の重さになるよう目指しており、可搬性でMacを選択していたユーザーにとっては、iPad Pro 13インチモデルという選択肢が広がることになる。

もう1つの新しいアクセサリーが、Apple Pencil Proだ。これは、新しいiPad ProとiPad Airで利用できる。

新たに感圧センサーと感触フィードバック、そしてジャイロセンサーが内蔵された。軸を押し込むと、ペン先がある画面に筆先や色の選択ができるツールチップが表示される。また、操作の取り消しを行う際に感触フィードバックがあり、操作がわかりやすくなっている。

これらはアプリに合わせた機能の割り当てが可能だ。開発者によって、Apple Pencil Proの活用方法が広がる道筋を付けたことで、iPad向けのアプリ開発競争が激化することが期待できる。

2017年以降取り組んできたデバイス上でのAI処理の大幅な性能向上に加えて、そもそものタブレットの操作性向上や活用範囲拡大に取り組んだiPadの新ラインナップは5月15日に発売される。

松村 太郎:ジャーナリスト

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