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京成電鉄が「オリエンタルランド株」巡り攻防戦 物言う株主の株主提案にも動じない老獪さ

東洋経済オンライン / 2024年5月10日 7時0分

京成電鉄は明治時代の1909年に、成田山新勝寺の参拝輸送を目的に設立された「京成電気軌道」を起源とする。その後、東京への延伸を繰り返し、1960年には「押上ー浅草橋」駅間を開業。東京圏の需要は大きく、安定成長していった。

京成にとってOLC株は「打ち出の小槌」

一方、OLCの設立は1960年。浦安沖の海面を埋め立て、商住地域の開発と一大レジャーランドの建設を行い、国民の文化などに寄与することを目的に創業した。

OLCの設立に大きく関わったのが、当時の社長であり、京成電鉄の「中興の祖」と言われる川崎千春氏だ。アメリカでディズニーランドを体験した川崎氏は、帰国後、三井不動産の江戸英雄社長(当時)らとともに、「オリエンタルランド設立計画趣意書」をまとめた。

OLCが創業時に事務所を置いたのは当時の京成電鉄の本社(東京都上野)でもあった。

その後、京成電鉄は「打ち出の小槌」のようにOLC株を少しずつ売却して、設備投資や自己株買いの資金として充当してきた。2023年9月末時点での保有比率は20%弱。筆頭株主ではあるが、子会社ではなく持ち分適用会社となっている。

ところが、京成電鉄の時価総額1兆円強に対し、OLCの時価総額は7兆9000億円(ともに5月8日時点)。京成電鉄の保有比率に換算すると、京成電鉄が持つOLC株の時価は京成電鉄の時価総額を上回ることになる。

この「資本のねじれ」につけ込んだのが、2021年に設立されたパリサーだ。

パリサーの創業者で最高投資責任者であるジェームズ・スミス氏は、エリオット・マネジメントの出身。アメリカの投資ファンドであるエリオットは、「武闘派」のアクティビストとして知られる。

しかし京成電鉄は、折衝力に長けるパリサーに対し冷静な姿勢をこれまで崩さなかった。「パリサーは京成電鉄の老獪さに翻弄されているかのようだ」(市場関係者)との見方まである。

株主提案をしたものの、パリサーの株式保有比率は1.6%に過ぎない。多くの株主の支持を得て決議を成立させるのはハードルが高そうだ。

京成電鉄がこの先、パリサーの要求に応じて保有比率を15%未満にするためにOLC株を約4%売却しすることは考えにくいようにも見える。ところが京成電鉄の関係者は、「京成電鉄がOLC株を大量に売っても不思議ではない」と話す。

上場企業は近年、資本コストや株価を意識した経営がより強く求められている。「京成電鉄も資本収益性を十分に意識しないと、株主にそっぽを向かれる懸念がある。経営陣はこの2~3年で『(持ち合い株式などは)売らなきゃ』という気持ちに傾いている」(京成電鉄の関係者)。

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