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JR東日本が変えた「ジャカルタ通勤鉄道」の10年 初代現地出向者に聞く海外鉄道ビジネスの現場

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 6時30分

――JR東日本はタイ・バンコクのパープルラインのメンテナンスを丸紅や東芝と合弁で受注、ベトナムやバングラデシュのODA案件を一部日本コンサルタンツ(JIC)経由で行っているほか、イギリスではオペレーターに参画していますが、国際ビジネスのボリュームではインドネシアが一番大きいのでしょうか。

架線電圧が1500V直流、線路の幅1067mmというところは日本とニュージーランドとインドネシアくらいだと思うが、そういった関係で親和性があるのは間違いない。さらにいうとインドネシアの方々が日本について非常に勉強していただいており、逆提案というか、こんなことはできるかどうかと提案をもらえる関係性が構築できている。

それだけに比較的事業展開はしやすいが、当社としてインドネシアだけにフォーカスしてきたということはない。このような関係が構築できるのであれば、例えばタイであっても、事業として広められればと思っている。ボリュームでいうと、国家的プロジェクトで性格が異なる部分があるが、インド(高速鉄道)に次ぐ規模だ。

人材相互交流が生んだ良好な関係

――もし、これだけの数の205系が譲渡されていなければ、今のようなビジネスになっていなかった可能性はありますか。

一般的には入札をして線路をつくるとか車両を納入するとか、そういったやり方で日本企業が海外の事業に参入していくというパターンがあるが、インドネシアについてはまったく違った入り方になっている。ある意味ちょっと特異なケースかもしれない。

筆者注:JR東日本はあくまで鉄道オペレーターであってサプライヤーではなく、海外事業のイメージをなかなか持たれにくいが、グループ会社を通してKCI向けの消耗品などのサプライを行っている。いわば、車両を安価に売ってメンテナンスで稼ぐという世界の鉄道車両メーカーの典型的な営業手法を、JR東日本グループ全体として行っているわけだ。

とはいえ、JR東日本が単に商売人に徹していたとしたら、今日のようなKCIとの良好な関係性は築けなかったであろう。そこに欠かせないのは、社員レベルでの相互交流の存在だ。メンテナンスのみならず、運転士や車掌、さらには本社部門での交流や研修が続けられ、双方の人材ブラッシュアップに一役買っている。また、これまで内向きと言われてきた日本側の鉄道人材にも変化が見られてきた。後編ではこういった点について、インタビューを基にお届けする。

高木 聡:アジアン鉄道ライター

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