マンション爆騰、実例に学ぶ購入時に厳守すべき事 物件を選ぶ際に重要な「資産性の原則」とは?
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 12時30分
都心の話をしてきたが、それ以外のエリアとの比較で市場を正確に理解しておこう。
不動産会社が共有している成約データを集計した結果はレインズタワーというサイトでデータが公開されており、都心3区、東京都、首都圏というエリア区分で集計されている。2023年に相場の天井が抜けたので、2022年の月次平均値と直近の半年(2023年10月~2024年3月)の平均を比較してみる。
都心3区の成約件数は14%増え、在庫件数は6%減っている。在庫件数に対する成約件数は2013年以降の平均で6.3%であり、平均成約期間が3カ月であることを考えると、売り出された物件の20%程度しか成約に至っていない。それでも在庫が相対的に少ないので、売り出される在庫価格は高く、成約価格は在庫価格の86%にすぎない。
つまり、物件検索サイトに載っている売り出し価格は成約ベースの2~3割高く設定されており、高値つかみする客を気長に探していると考えられる。とはいえ、割高な価格設定の物件ばかりの中では割安に買うことはしにくく、仕方なく割高と知りながら成約する事例も多い。この結果、以前の成約件数よりも25%も増えている。
東京都全域で見ると話が変わる
これが郊外を含めた東京都全域で見ると話が変わってくる。成約件数は以前より10%増えたが、在庫件数も11%増えている。在庫が相対的に多い中、成約価格は在庫価格の101%となり、成約のほうが高くなる。
在庫価格より高くなるのは、好立地で高価格な物件のほうが成約することを意味している。相場が上がったから売りに出してみたものの、立地の悪い物件は見向きもされていない可能性が高い。都心3区はどこも好立地だが、東京都全域ではそうとはかぎらないところも多くなる。
首都圏全体になるとその傾向がさらに顕著になる。成約件数は以前より7%増えたが、在庫件数は22%も増えている。在庫が増えた分、在庫に対する成約件数の割合は9%程減り、売れ行きは悪い。そんな中、成約価格は在庫価格の104%となり、成約のほうが一層高くなる。
これは立地の選り好みが東京都よりもさらに進んでいることを示している。マンションは「1に立地、2に立地」なので、相場が上昇しても、その商品力は立地次第なのだ。
ここまで見てくると、都心のほうが値上がりしやすく、在庫がはけやすく思うかもしれない。
だが、これは金融緩和下の直近11年の話でしかない。この間は、基本的な市場環境が変わらずにきた結果である。それ以前は、リーマンショックのような金融危機があり、その際には都心の在庫は急増し、価格は相対的に安く、売れ行きが悪かった。
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