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介護費を兄が工面、脳出血になった独居弟の苦悩 「体は資本」老後まで使い続けるなら過信は禁物

東洋経済オンライン / 2024年5月12日 7時20分

こうした状態を支えるべく、訪問介護が週2回、身体機能を維持するための訪問リハビリが週2回、健康状態を確認するための訪問看護が隔週1回というケアプランを組んでいました。

介護保険の場合、介護度などによっても違ってきますが、1カ月に使える金額の上限(支給限度額)が決まっています。Aさんは毎月、この限度額ぎりぎりまでサービスを利用して、在宅での生活を続けていましたが、月によっては限度額を超え、全額自己負担で介護サービスを利用することもありました。

介護保険では、自己負担が1割の場合、3万円のサービスを3000円で受けられます。ただ、これはあらかじめ決まっている限度額までの話です。限度額を超えると、オーバーした分のサービスは全額自己負担となります。

貯金を取り崩しながら生活しているAさんにとって、費用負担が大きいため、兄の金銭的な援助に頼る状態が続いていました。

しかし、兄も年金生活に入ると、いつまでも援助を続けられるわけではありません。Aさん兄弟には施設に入居している高齢の母親もおり、兄は母親の主な介護者でもあります。

多少の不便があったとしても、限度額内で収まるようサービスを絞るなど、Aさんもどこかで折り合いをつけなければならない状況にありました。

体が不自由な状態で年を重ねることの大変さを肌身で感じていたAさんは、「なぜもっと早く健診を受けなかったのか」「自分は大丈夫だと思っていたのに、まさかこんなことになるなんて」と、深い後悔に包まれながら話していました。

「自分は大丈夫」の過信が怖い

健診を受けなかったり、「要再検査」と指摘されたのにそれを放っておいたりすると、病気が進行して、Aさんのように突然大病を発症することがあります。

心臓病や脳卒中になると命にかかわりますし、万が一命を取りとめても、重い後遺症が残り生活が不自由になりますし、医療費が高額になる可能性もあります。

年に1回、健診を受けることで大病を防ぐのは、将来の医療費を減らすことにもつながるのです。

以前の記事(血糖値高めを放置し「足を切断した」男性の言い訳)でも紹介しましたが、生活習慣病の怖いところは、自覚症状がないうちは日常生活で困らないため、つい「大丈夫だろう」と過信しがちな点です。

血圧も血糖値もコレステロールも、かなり数値が高くても、自覚症状はほとんどありません。私が診てきたほかの生活習慣病の患者さんも、決まって「自分は大丈夫だと思っていた」と口にします。

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