妻大ショック「夫の3回忌後」出てきた遺産の正体 本人以外は存在を知らない「デジタル遺産」の罠
東洋経済オンライン / 2024年5月15日 10時30分
夫は生前、友人Bさんから紹介された資産運用アドバイザーを通じて運用口座を開設し、そこでいろいろなネット証券に投資していました。Aさんや子どもはその存在を知りませんでした。
そのネット証券の運用報告は、定期的に夫が所持していたパソコンのメールアドレスに届くだけで、その存在がわかるような書類などは自宅にも一切存在しません。
夫の他界後、Aさんと子は相続の専門家にも相談、依頼をしながら相続の手続きを期限内に終えることができました。把握できた金融資産や不動産だけでもそこそこの遺産があったため、相続税も思っていたよりも大きな額になりましたが、それは仕方のないことだと納得することにしました。しかし、このとき、上記のネット証券の存在はAさんと子に知られることがないまま放置される形になったのです。
夫の3回忌のこと。
法要に訪れた友人Bさんから、Aさんはこのネット証券のことを知らされることになりました。慌てて、夫の死後、ほとんど開くこともなかったパソコンを開けてメールを確認したところ、今も定期的に運用報告が届いていました。
その運用報告を見たところ、評価額(残高)はなんと約1300万円。こんなところにこんな財産があったことにAさんは驚きます。
どうしたらよいのかわからず、Aさんは当時の相続の専門家に相談することにしました。「立派な財産ですし金額も大きいので、きちんと相続税の修正申告と追加納税をやりましょう」と、アドバイスを受け、修正申告をすることになったわけですが、ここでよからぬことを知ることになります。
相続発生時点の驚きの評価額
相続税の申告・納税にあたっては、相続発生時点の評価額に基づいて行います。預貯金であれば相続発生時点の残高、有価証券であれば原則相続発生時点の時価です。
よって、相続発生時点の評価額を確認して、申告・納税することになりますが、なんとこの2年あまりの間、投資していた有価証券が値下がりを続け、評価額がほぼ半減していたのです。相続発生時点では評価額2500万円だったのに、現在は1300万円に……。
相続税の修正申告にあたっては、相続発生時点の評価額2500万円で申告するため、その分、納める税額は大きくなるにも関わらず、実際に受け取るのは1300万円ということになってしまったのです。
「もっと早くこの存在に気付いていたら、こんなに減ることもなかったのに……しかも、そんなことも関係なく余計な相続税まで納めることになるなんて……」
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