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あおぞら銀と大和証券G、「土壇場提携」の真意 提携劇が浮き彫りにするあおぞら銀の経営課題

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 7時20分

あおぞら銀行は大和証券グループ本社の持ち分法適用会社となる(記者撮影)

あおぞら銀行は5月13日、大和証券グループ本社と資本業務提携を結んだと発表した。第三者割当増資によって519億円を調達し、大和証券グループは15.54%を保有する筆頭株主となる。あおぞら銀行は大和証券グループの持ち分法適用会社となり、社外取締役1名を受け入れる。

あおぞら銀行は2024年3月期決算で、有価証券含み損の損失処理やアメリカ商業用不動産向け融資で多額の貸倒引当金を積み増し、499億円の最終赤字に陥った。増資によって財務体質を強化しつつ、大手証券グループとの連携で再出発を図る。

赤字転落で提携交渉が加速

「われわれに足りない部分を持っている」。同日に都内で開かれた決算会見で、あおぞら銀行の大見秀人社長は提携の意義をこう説いた。

あおぞら銀行は近年、LBO融資(買収対象企業の資産や収益力を担保にした融資)や海外不動産向け融資など高利回りの貸出案件を深耕してきた。他行との差別化を意識し、「小さな規模で選択と集中を進めてきた。足りないパーツを何とかしたかった」(大見社長)。

あおぞら銀関係者によれば、他社との提携を模索し始めたのは、谷川啓前社長時代の2023年からだ。大和証券グループに加えて、野村ホールディングス(HD)や地方銀行大手のコンコルディア・フィナンシャルグループなど複数の候補が浮上していたが、交渉の進捗は緩やかだったようだ。

それが2024年に入ると事態が急変する。海外金利の急騰を受けて、あおぞら銀行はアメリカ商業用不動産向け融資で巨額の引当金を積み増し、有価証券の損切りも余儀なくされた。その結果、1月末に業績の下方修正と15年ぶりの赤字転落を発表。自己資本比率は同行が規律とする9%(国内基準)を割り込み、資本増強が焦眉の急となった。

あおぞら銀行は以前から大和証券グループとも接触を図っていたが、前述の下方修正を発表した頃から資本提携の交渉が加速する。大和証券グループはあおぞら銀行の主幹事証券を務めるほか、過去にはM&Aファイナンスで合弁会社を設立した縁もあった。大見社長が大和証券グループの荻野明彦社長と10年以上前から面識があることも、後押しとなった。

交渉の過程では「横やり」も入った。赤字決算を受けた株価急落に目をつけた旧村上ファンド系のアクティビストが、2月2日からあおぞら銀行の株式を買い始めたことだ。2月27日時点での保有比率は計8.9%に達し、筆頭株主に躍り出た。

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