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「広告が不快」グランスタ東京の炎上に残る違和感 Apple、サッポロなど相次ぐ広告炎上対応で考えること

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 15時50分

この広告も、賛否両論あったはずで、本当に取り下げまで行う必要があったか微妙なところと思うが、ネガティブな側面がかなり大きいと判断して取り下げたのかもしれない。

他に物議を醸した広告では、2018年2月1日、ゴディバが日本経済新聞に掲載した「日本は、義理チョコをやめよう」の広告がある。義理チョコを肯定する人、反対する人、価値観がさまざまというなかで、当時かなり賛否両論の声が巻き起こったが、取り下げの議論までは起きなかった。1日だけの掲載であったこと、また、会社員も多い日本経済新聞の読者には一定程度の共感も集めるメッセージであったことなどから、“炎上”には至らなかったと考えられる。

なお、この広告に対抗して、チョコレートのブラックサンダーの公式Twitter(現X)アカウントが「義理チョコ文化を応援いたします」という投稿を行い、話題を集めた。

このように多くの人の目にとまり、盛り上がるメッセージ広告を作るのは、炎上と紙一重のようなところがある。

広告は不寛容社会にどう対峙すべきか

広告のSNS上での「炎上⇒取り下げ」というトレンドは加速しているが、実はSNSが普及していなかった時代にも炎上と取り下げ自体は存在していた。

現在でも話題に上るのが、1991年に放映されたエーザイのチョコラBBドリンクのCMだ。CMの中で、女優の桃井かおりさんが「世の中、バカが多くて疲れません?」とつぶやいたケース。視聴者から苦情が殺到して放映中止となった。

これには、「バカ」のセリフの部分が「お利口」に差し替えられて放映されたという後日談がある。

この差し替えには、苦情を寄せた視聴者に対する、コピーライター(仲畑貴志氏)と広告を出稿したエーザイからの意趣返しの意味もあったのではないかと思う。

広告の表現は、芸術やエンターテインメントの表現と比べても制約が多く、「ルールを守る」「誰も傷つけない」ということが重用される。それでも、さまざまなことに挑戦したり、ギリギリのところを攻めたりすることで、多くの人の注意や共感を引くことに成功することもある。批判を恐れて過剰に萎縮してしまえば、広告の目的を達成することができない。

最近炎上したアメリカ・Apple社の新iPad Proのプロモーション動画は、トランペット、ギター、カメラ、テレビなどのさまざまな物がプレス機で押しつぶされ、最後にiPad Proが姿を現す――という内容になっている。

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