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庶民は買えない!?マンション高騰は続くのか? 今後のインフレで日本の不動産はどうなるのか

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 19時30分

そして5つ目が、これから顕著になる要因で、人件費の高騰です。建設業従事者は1997年の685万人をピークに減り続け、2022年には479万人になってしまいました。2024年度からは、時間外労働の規制や週休2日制の導入など、働き方改革が実施されます。工期の延長や、ただでさえ少ない人手のやりくりを負わされる建設業にとっては、コストアップという茨の道が続くのです。

建設費は大都市と地方で多少異なりますが、地方だからといって、大幅に安くなるわけではありませんし、大都市圏もエリア内ではそれほど変わりません。つまり、製造原価がそれほど変わらないマンションは、やむをえず分譲価格を値上げせざるを得ないのです。

大都市郊外や地方のマンション購入者が富裕層ではない、一般国民とすれば、彼らの多くは収入が増えていないため、結果的に新築マンションはなかなか手に入らない存在になってしまったと言えるでしょう。

投資対象としてのマンション

投資の観点から、新築マンションの建設・分譲を考えてみましょう。

不動産投資は節税などの場合は別として、おおむね運用中の投資利回りと売却時の損益が判断材料となります。このうち、単年度の投資利回り(表面利回り)は、年間賃料収入÷投資総額(土地代+建物代+諸経費)で表されます。正確には保有期間中の賃料総額、出口予想価格、期間中の割引率を加味して計算しますが、賃料収入である程度のレベルを確保しないと、売却時でよほど高い金額で売れない限り、投資する動機付けは得られません。

ところが現在、この算式の分母にあたる投資総額は土地代も建物代も上がりっぱなしの状態で、下がる見込みがありません。つまり、投資利回りはどんどん落ち込んでいる状況です。ということは、満足できる利回りを確保するには、分子の部分に相当する賃料が上がらなければなりません。

マンション販売において、上昇する販売価格を吸収するには、低金利政策や税制優遇など行政による後押しだけでは限界があり、一般国民の給与など収入が上がることで手が届くようになることが必要です。また賃貸では、高い賃料を喜んで払ってくれるテナントが増えれば、利回りが改善して成立します。

今後ますます強まる世界的なインフレ傾向

現状では、投資家は賃料上昇期待を待ちながらも、売却時の売却益に重きを置いて投資を行っているはずです。そして、いずれ賃料収入も着実に上がると見込んでいるがゆえに投資を決断しているとも言えます。そうでなければ、そもそも投資意欲が湧くはずがないからです。

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