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利益1位の三井物産、巨額減損の住友商事と明暗 5大総合商社の2023年度決算は業界序列が変動

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 7時0分

2024年度の利益の順位はどうなるのか。各社の計画数字を並べると、9500億円を予想する三菱商事が純利益トップへと返り咲く。

三菱商事の2023年度の純利益は前年度比18%減の9640億円だった。資源市況下落や前年度にあった不動産運用会社売却益がなくなったことに加え、オーストラリアの原料炭事業でコロナ禍以来の人手不足や天候不順により操業が落ち込んだことなどが主な理由だ。

2024年度も原料炭生産は伸び悩み、「2年間は辛抱」(中西勝也社長)の時期。利益面ではオーストラリアの2炭鉱の売却益や、連結子会社だったローソンの持ち分法適用会社化に伴う同社株式の再評価益が貢献する。ただ、それらの一過性利益を除くと、単純計算で純利益は7300億円の水準に落ち込んでしまう。

対する三井物産は9000億円を予想する。2024年度は鉄鉱石価格の下落を見込み、資産売却も一段落する。が、化学品や鉄鋼製品が回復したりエクアドルのエビ養殖事業が収益貢献したりするなど、むしろ実力値に近い数字といえる。

伊藤忠商事も8800億円と後を追う。完全子会社化した伊藤忠テクノソリューションズや大建工業、ファミリーマートなどの非資源事業を中心に着実に利益を積み上げており、2020年度以来の1位も狙える位置につける。

一方、2023年度に利益を大きく落としたのが住友商事だ。昨年11月に連結純利益の見通しを5000億円に引き上げたものの、3864億円で着地した。ニッケル事業やミャンマーでの携帯通信事業、青果や北欧の駐車場事業で巨額の減損を出した影響が大きい。その総額は1500億円に上る。

4月に就任した上野真吾社長は会見で、「構造改革の総仕上げということで、これ(課題事業)に対処した。2024年度からの新中期経営計画に弾みをつけるための処理だ」と力を込めた。

住商「最大の懸案」は撤退も視野

なかでも890億円と最も大きな減損を出したのはマダガスカルのニッケル事業だ。ニッケルやコバルトの市況下落に加え、補助プラントの不具合などにより生産量が低迷。2023年度の持ち分損失は、一過性要因を含め1080億円に達した。

住商がアフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶマダガスカル共和国東部のアンバトビーでニッケル鉱山の開発に乗り出したのは2005年のこと。1億2500万トン超のニッケルを掘り出し、220キロメートルに及ぶパイプラインで沿岸部の精錬所に鉱石を送る計画だった。

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