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外国人労働者が日本を働き先として選ばない理由 日本よりも韓国が賃金も文化も魅力的という現実

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 10時30分

当時、ミャンマーでは「サフラン革命」と呼ばれる大規模なデモがあり、デモを取材していた日本人ジャーナリストの長井健司さんが銃撃され死亡し、日本でも報道されました。そのような大混乱の最中に、ミャンマー政府と韓国政府が労働者に関する「2国間契約」を結んだことには大いに驚いたものでした。

「日本より韓国に親近感がある」

EPS制度はEPS-KLT(韓国語試験)に合格した人々に韓国で働く機会を与えるものです。これは、ある程度の日本語力が求められる人でなければ日本に行けないという点で、日本と韓国は「新たに語学を学んで渡航しようとする人材層」はまるっきり被ってしまっています。

日本とミャンマーは歴史的に深いつながりがありますが、ミャンマーでも韓国ドラマやK-POPなどの「韓流」の人気は根強く、とくに若者にとっては強い親近感を持つ国になっています。そのため、韓国での就労を目指しEPS-KLT受験者が急増しています。

2024年3月19日から始まったEPS-KLTの申し込みには、朝4時の申請開始時間に間に合わせるため、前日の午後6時から受験者が並び始めるなど、連日すごい人が殺到しました。正式発表はないものの、地元メディアによれば10万人をはるかに超えたとの報道があります。

「日本語検定試験を受験した友人が、今回の韓国語テストにも受験していた」と私が経営する会社の社員からも聞けるほどの人気です。私の会社が運営する日本語学校には、日本での就労を目指して随時300人ほどが学んでいますが、最近入学する生徒に「なぜ日本語を学び始めたのか」と聞いたことがあります。

日本に行きたい理由を聞くために質問したのですが、実は「当初は韓国語を勉強しようと思ったが、韓国へ行ける人数が少なかったので日本を選んだ」と話す生徒もたくさんいたほどです。

では、ミャンマー人にとって、日本と韓国はどのように捉えているのでしょうか。

どちらで働くにも、それぞれの言葉を覚えなければなりません。一般的に、ミャンマー語と日本語は文法がほぼ同じで覚えやすく親和性も高いとされています。

実は韓国語やモンゴル語も、その点では同じ言語です。日本語は韓国のハングルと比較すると、「カタカナ」や「漢字」など覚えるものがたくさんあり、日本語学習者のやる気を削ぐことがあります。

文化面では、アニメなどを通じて日本の文化を知る機会はあるのですが、仕事の特殊性や会社の成り立ちがよく伝わっているわけではありません。一方、韓国ドラマやK-POPは生活に入り込んでおり、実際の韓国人の生活や文化が浸透し「親しみやすい国」という印象を相対的に持つ人が多いとも言えます。

最低賃金:日本8.5ドル、韓国9.5ドル

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