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「セクシー田中さん」悲劇を受けた春ドラマの現実 あれから4カ月、ドラマ制作は変わったか?

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 13時0分

もともと制作サイドが原作者や漫画と真摯に向き合ってコミュニケーションを取り、「絶対に変えてほしくないところ」さえ押さえておけば、このように理解を得られるケースのほうが多いものです。さらに「セクシー田中さん」の悲しい出来事を受けて、制作サイドがより慎重に対応していることは間違いないでしょう。

また、原作者との関係性の次に重要なのは、原作ファンを納得させるものなのか。少なくとも落胆させるものにならないか。その点、今春の3作は多少の批判的なコメントこそあれ、原作ファンを怒らせるような事態には至っておらず、ここまでは問題ないように見えます。

深夜帯では相変わらずの漫画依存

ここまで書いてきたようにゴールデン・プライム帯のドラマはオリジナルが多く、漫画原作の作品でも、原作者の理解を得るための丁寧な対応が見られます。

しかし、深夜帯のドラマに目を向けると、相変わらず漫画原作の作品が量産されているのも事実。今春も、

「お迎え渋谷くん」(カンテレ・フジテレビ系、火曜23時)

「からかい上手の高木さん」(TBS系、火曜23時56分)

「肝臓を奪われた妻」(日本テレビ系、火曜24時24分)

「RoOT / ルート」(テレビ東京系、火曜24時30分)

「君とゆきて咲く ~新選組青春録~」(テレビ朝日系、水曜24時15分)

「好きなオトコと別れたい」(テレビ東京系、水曜24時30分)

「25時、赤坂で」(テレビ東京系、木曜24時30分)

「君が獣になる前に」(テレビ東京系、金曜24時12分)

「おいハンサム!!2」(東海テレビ・フジテレビ系、土曜23時40分)

と、深夜帯の過半数が漫画原作に頼っているという状態が見られます。

深夜帯のため見る人が少なく、ネット記事やSNSのコメントも少ないから影響力が限定的なのは確かであり、実際に大きなトラブルはありません。ただ、配信の利用者が増え続ける今、前期の「離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-」(テレビ朝日系)のようにクチコミで一気に視聴者が増える作品もあります。今後はゴールデン・プライム帯と同じレベルでの丁寧な対応が求められていくのではないでしょうか。

最後に話を「セクシー田中さん」に戻すと、日本テレビの調査は2月23日にスタートしました。局内のドラマ班や脚本家など関係者への聞き取りを行っているほか、同作だけでなく過去の漫画原作ドラマの関係者からもヒアリングするなど、広く意見を求めているそうです。

これは「絶対に再発させないためにじっくり調べる」というスタンスであり、発表時期の延期はポジティブに考えればいいのかもしれません。しかし、一度失ってしまった世間の信頼を回復するためには長年にわたる地道な努力が必要なだけに、局を越えて業界全体が制作姿勢を問われていることは間違いないでしょう。

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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