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愛猫を失った男性の「ネコは外が幸せ」という誤解 「快適な縄張り」さえあれば室内でも十分に満足

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 11時3分

たまたま現在の日本が清浄国というだけで、世界ではいまだメジャーな病気ですから、今後も要注意の感染症です。

2020年には、外国籍の男性がフィリピンからの入国後に日本国内で狂犬病を発症し、その後、入院先の医療機関で亡くなるということがありました。フィリピンで狂犬病のウイルスを保持したイヌにかまれ、狂犬病に感染したと推定されています。海外では安易に動物に触れないということも大切です。

トキソプラズマという寄生虫も、ネコから人間に感染する可能性があります。

トキソプラズマに初めて感染したネコは、一定期間、ふん便といっしょにオーシストという状態の寄生虫を排泄(はいせつ)し、このオーシストが口に入れば、ぼくたち人間もトキソプラズマに感染する可能性があります。土がオーシストに汚染されていれば、庭仕事などで感染することがあるわけですね。ネコのふん便を後始末するときにも注意が必要です。

妊娠した女性がトキソプラズマに初めて寄生されると、この寄生虫が胎児にうつり、死産や早産、脳や眼に障害のある先天性トキソプラズマ症の赤ちゃんが生まれることがあります。これも決してあなどってはいけない感染症です。

さらに、近年、国内で大きな問題となっているのが、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気です。最近しばしばニュースになっていますから、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

この病気は、ウイルスを持ったマダニにかまれたり感染した動物の体液に接触したりすることで、ほかの動物にも感染します。

マダニは野山や草むら、ヤブ、野生動物の体表などにいますから、ネコを外に出せば、ウイルスを抱えたマダニにかまれてSFTSに感染したり、マダニを体にくっつけて家に持って帰ってきたりするかもしれません。

SFTSは致命率が高く、発症するとネコでは約70パーセント、イヌでは約29パーセントが死亡するという報告があります。SFTSを発症した動物の体液を介して、その飼い主や獣医療関係者に感染したケースも報告されています。

直接マダニにかまれて発症したケースと合わせると、日本で2014年から2016年までに178名の感染者が出て、実にそのうち35名もの方が亡くなっています。医療技術の発達した現代において、人間で約20パーセントの致命率というのは相当なものです。

ネコの外飼いの弊害はほかにも

ネコの外飼いの弊害は、これらの感染症だけではありません。

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