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キー局決算で見えた「TVerによる驚きの配信収入」 50億円規模の事業が3割も4割も伸びている

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 12時0分

2023年度の5局の放送収入合計額は7623億円。配信広告収入317億円と合わせると7940億円。これが放送収入は毎年マイナス4.7%、配信広告収入は毎年プラス42.5%として今後の推移を強引にグラフ化してみた。

合計7940億円は2026年度まで7515億円に下がっていく。それが2027年度以降反転し、2029年度には8365億円と元の金額を超える。2030年度には9225億円にまで増える。強引な推測では、頑張って耐え抜けば配信広告収入の増加により全体も増えるのだ。

毎年同じ比率で推移するのはありえないので、このままにはならない。だが大まかな流れとしてはありうる試算だと思う。

とにかく、配信広告収入を高めるべく頑張れば、長期的回復は起こりうると私は考える。ただし、そこにはいくつかの課題がある。

まずTVerだ。今は本当に絶好調で、きっとここまで各社内で「配信なんて儲かるのか」などと言われながらも耐え忍んできたであろう関係者の努力が実った形だ。節目ごとに聞こえてくるのは、大幅に再生数やUB数が伸びたニュースばかりだ。個別の番組も、各分野で新記録を続々樹立している。すっかりエンタメ配信アプリとしてのポジションが確立した。

だが、いつのまにか「ドラマ配信アプリ」になってしまった。バラエティは再生が伸びるものが限られている。これではいつか行き詰まりかねない。

現状のTVerは「テレビ」とは言えないのだ。テレビとは、ドラマやバラエティに限らず、ニュースや情報番組、ドキュメンタリーや教養番組も含めた玉手箱のような装置のはずだ。ドラマばかりが見られるからと、ドラマの配信に集中していると、ある時点で成長がストップするかもしれない。

テレビとは、ふと「いまなんかおもしろいことないの?」とつけたら何かが出てくるものだった。それがいまはYouTubeにお株を奪われている。最近は民放のニュースや解説までYouTubeで見られている。

YouTubeで見られるのなら、TVerでも見られるはずだ。いまは配信してもなかなか見られないだろうが、配信し続けることが大事ではないか。そして開くとパッと何かが流れることも必須だ。テレビがそうであるように、つけたらとりあえず番組が目に入ってくることが重要なのだ。

そんなことはTVerの人々もわかっているはずで、実際去年の業界イベントではTVerのキーマンが新しい見せ方を取り入れると宣言していた。その開発は、大袈裟にいうとTVerの、さらにはテレビ局の今後を担っている。そこには期待したい。

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