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メガバンク3社で「3兆円」でも市場に漂う失望感 さらなる業績上振れ期待も、PBR1倍は遠く

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 7時50分

過去最高益を発表した翌日、三菱UFJFGとみずほFGの株価は下落した(撮影:梅谷秀司)

最高益なのに「ネガティブサプライズ」

メガバンクの業績が絶好調だ。5月15日に発表された2024年3月期決算は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGのいずれも過去最高益を更新した。3社合計の純利益は3.1兆円で、金融緩和が始まった2013年以降の最高益である2.5兆円を軽々と上回った。

過去最高益を発表した翌日、三菱UFJとみずほの株価は下落の憂き目に

ところが、好業績に対する株主の評価は「失望」だった。翌16日、三菱UFJFGの株価は終値ベースで4.28%下落し、みずほFGも1.04%の値下がり。上昇したのは、三井住友FGの2.14%だけだった。会社と投資家がすれ違うきっかけとなったのは「株主還元」だ。

「極めて力強い決算だ」(三菱UFJFGの亀澤宏規社長)、「業務環境が非常に良かった」(三井住友FGの中島達社長)、「実力がついている」(みずほFGの木原正裕社長)。15日の記者会見で、各社の首脳は決算内容に自信をのぞかせた。

企業の設備投資や企業買収などに伴う資金需要が旺盛で、国内外の金利上昇に伴い利ザヤも拡大。大型の企業倒産は少なく、株高で資産運用ビジネスも伸長。円安による為替差益まで享受できた。

その勢いは衰えず、メガバンク各社は2025年3月期も最高益更新を見込む。年内にも日本銀行が追加利上げに動けば、純利益はさらに上振れる。

ところが、そんな期待をよそに、市場は「失望売り」で反応した。

「ネガティブサプライズ」。5月15日付のSMBC日興証券・佐藤雅彦シニアアナリストのレポートは、こんな見出しで始まった。「自社株取得が1000億円(中略)に留まり、24年3月期の年4000億円や弊社予想の年5000億円を下回るペースとなった」。

投資家が注目していたのは、三菱UFJFGの約1.5兆円という過去最高益よりも、その活用法だった。同社は2023年度に4000億円、2022年度にも4500億円の自己株取得を行っている。過去最高益がすでに織り込まれる中、市場の関心は「還元」の規模だった。フタを開ければ、三菱UFJFGは決算と同時に自己株買いこそ発表したものの、上限は1000億円にとどまった。

資本の制約で自己株買いを躊躇

三菱UFJFGも、市場で高まる大規模還元への期待を察知していなかったわけではない。だが、資本の制約がそれを阻んだ。同社の自己資本比率は、3月末のCET1比率(普通株式Tier1比率)が10.1%。その0.1ポイントに当たる1000億円分の自己株を買い戻せば、ちょうど10%に収まる計算だ。

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