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お金持ちとは本当に"うらやましい人生"なのか 「FIRE」の流行から数年たって改めて考える

東洋経済オンライン / 2024年5月21日 11時0分

子どもの習い事も一流の先生を探し、学校だって学費のかかる有名私立を選ぶことも多くなるだろう。それも幼稚園や小学校から。そうなると、親同士のお付き合いも大変だ。お迎えの車はベンツ、ママ友とのお茶に1万円超えのアフタヌーンティー、着ていく服もコスメもバッグはおおむねハイブランド――などと、果てしなくお金がかかる。

しかし、いったんその階層に入ってしまうと、生活レベルを下げることができなくなったりもするだろう。お金持ち生活を持続するには、莫大なコストがかかるのだ。

なお、タワマン最上階と書いたが、超がつくようなお金持ちはまた別の場所に自宅があったりする。富裕層はざっくり2つに分かれており、先祖代々お金持ちで、その土地や財産を受け継ぐ「資産家」がひとつ。もうひとつが、自身の才覚や努力、あるいは投資で財を築いた「一代財産家」だ。

前者は土地持ちであることが多く、高級住宅街に広い自宅を持っていたりする。これがまた、必ずしもラクではないらしい。歴史のある邸宅は、補修するにもひと騒動だ。規格が決まっている今の住宅とは違い、昔の大工仕事で作られた家だとすると、その技術を持つ熟練職人がどんどん減っているため工賃も高くなる。

植栽も同様で、知人が嘆いていたが、松の木の手入れに年間50万円もかかるのだとか。これも、専門の植木職人が少なくなっているせいだという。ネットで安い業者を探してくればOKというわけにはいかないのだ。また、大邸宅になればなるほど、犯罪対策の警備費も必要になるだろう。そして相続となれば、一等地であればあるほど莫大な相続税が出ていく。

お金持ちには社会的責任が伴う

かつてのセレブ階級である貴族だって楽ではなかったという。NHKの朝ドラ『虎に翼』で、華族のお嬢様である「涼子さま」が、家名存続のために自分の夢を諦めて婿を取るエピソードがあるが、「自分が家を継がなければ、多くの者が路頭に迷う」という意味の台詞があった。真のセレブは、自分のために働く使用人の雇用を守る責任がある。自由な仕事も恋愛もままならない。西洋の貴族社会もそうで、働かなくていいかわりに、貴族は地代を納めてくれる領民への義務を負っていた。治安判事を務めたり、領民の教育制度や救貧に気を配ったり、橋をかけたりインフラ整備をしたりと、民のために尽くさなくてはいけない。贅沢三昧して遊び惚けているようでは、真のセレブとは扱われなかった。

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